モノ魔リスト

モノ魔リスト

必要ではない。だがよく考えてみると、たしかに必要ではないようだが愛すべきモノたち。

ミシガン 停電コレクション

 

ミシガンに赴任した当初に感じた事のうちのひとつに、

やたら停電が多い

というものがある。

 

そも、米国のインフラは日本のそれに比べると弱い(というより多分、日本のインフラが強すぎる)らしいのだが、その米国平均と比してもミシガンは更に弱く、つまるところ停電しやすいそうである。

そういうわけで、日本においては大きな災害の後とか、計画停電とかいった特殊な環境でなければあまり経験することの無い停電という珍しい体験を、ここミシガンでは身をもって体験し放題という事である。そして色々と経験しているうち、この停電にも一定のレベル分けができるのではなかろうかと思うに至った。

従って今回は筆者の独断と偏見によって停電の系統分離を行い、

ミシガン 停電コレクション

と称して勝手に発表してみることにする。

 

ノーパワーレベル1: 瞬きのような停電

まずは最も強度の弱い停電から。文字通り瞬きのように一瞬だけ電気が消える現象を指している。実のところ、これが本当に停電なのかは正直なところ不明だが、電力が不安定になっている事はおそらく間違いないだろう。と言うのも、この現象が連続して3度4度(パチパチパチッという感じ)起きると、そこそこの確率でノーパワーレベル2に自動遷移するからである。

 

ノーパワーレベル2: 束の間の停電

レベル2からは、所謂一般的に想像される停電を想像していただいて問題ないだろう。ただし、その時間は数分~10分前後のかなり短時間である。日本の感覚で言えば停電というのは特殊な環境であり、したがって長い間電力の供給が止まるものと思いがちだが、ここミシガンでは10分以内で復旧する停電がよく発生し、頻度としてはレベル1を抜いて最も多い。外出中に停電している事も多く、家に帰ってからWifiルータを見てくづく場合も多い。初めてミシガンの事務所でこのレベル2が発生した時は、同僚に

"Welcome to Michigan!"

と言われたのを思い出す。

 

ノーパワーレベル3: 午睡のような停電

ここからはそこそこ影響の大きい停電で、時間にして30分~数時間程度だろうか。現象としてはレベル2と何ら変わらないが、なんせ時間がそれなりに長いので、平日の昼間に発生するとメールもままならない。このレベル3の停電が発生すると、同僚の一人が決まって

今日は停電で仕事できないわ!というわけでもう帰らない?」

と言い出すが、これも日常茶飯事である。

 

ノーパワーレベル4: 深淵を覗いたような停電

レベル4ともなると、半日~1日前後の比較的長期間で停電してくる。これはそれほど起こらないが、1回でも発生すると冷蔵庫の内容物が心配になる。ちなみに当たり前だが、夜に停電されると文字通り真っ暗になる。下記は停電中あまりに暇を持てまして撮った、家の前の駐車場の写真である。

※通常時

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※停電時

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ノーパワーレベル5: 絶望の淵に立ったような停電

先に言っておくがこのレベル5は筆者も未だ経験がなく、前任の駐在員から聞き及んだ程度である。曰く、数日から1週間単位で停電が起こる事があるらしい。前任者の場合は断水もおまけでついてきたとかで、尚且つお子さんが小さかったということも手伝って相当苦労したという。ぞっとしない話である。できれば経験せずに帰国したいものだが、どうしたものか。

 

 

以上が、筆者の独断と偏見と体感で形作られた、ミシガン 停電コレクションである。こんなものをまずとも、ミシガンで暮らしていれば遅かれ早かれライブ体験できるため、わざわざ文字に起こすまでもないかもしれないが。

 

 

ミシガン メニメニクーポンコレクション

 

筆者の務めるミシガンの事務所は、ごくごく小規模とはいえ毎日何かしら郵便物が届く。別に当番として決められているわけではないのだが、筆者は事務所にくる郵便物を毎日チェックしている。その内訳は、1割弱が従業員の保険関係の書類とか、本社からのお達しとか、あとは定期購読の業界ニュースなど。そしてそれ以外の9割超は、いわゆる広告類である。

 

で、この広告というのが日本とは多少異なる形式なのがなかなかに面白い。個人宅宛にくるかなり特徴的なダイレクトメールについては以前の記事で触れたが、今度は事務所つまり会社宛に来たものについて二、三垂れ流してみたい。

 

よく見る広告

・ワードやエクセルを効果的に使うには?応募してね!

・マネージャーに求められるスキルとは?応募してね!

・ビジネス・オフィス用の高速WIFIは要りませんか?入会してね!

・近所に新しくレストランをオープンしました!来店してね!

・近所の家具店です!20%クーポンがついてます!来店してね!

・車の保険について考え直しませんか?来店してね!

この手の広告はよく郵便受けに入っている。日本でもありそうな広告で、その多くはひと目見て広告とわかるものばかりである。だがやはり米国らしいと言うか、色々と趣向を凝らしている物も見られる。

例えば、

・宛名の書体をわざわざ手書き風にして、大切な書類感を醸し出しているもの

”Final Notification"とか”Important Document - Do not Discard"とか”Open Immediately"とかいった刺激的な文字をちらつかせて、大事な書類感を醸し出しているもの

といった類のものである。前回のダイレクトメール事情の話でも述べたが、まずは『封筒を開けさせる』ことを主眼に置いているのだろう。ただこの辺は不思議なもので、眺めているうちに広告なのかそうでないのか何となくわかるようになってくる。経験上、本当に重要な告知(例えば裁判所からのものなど)ほど、Open Immediatelyとは書いていないのだ。

 

ちょっと特徴的な広告

感覚では大体ひと月かふた月に1回くらいの頻度と思うが、下記のような広告が来ることがある。

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表面には”an offer like no other is inside!”、つまり『他に類を見ないようなオファーが入ってるぞ』と米国調の強気な宣伝文句が印刷されており、中に色々クーポンが入っているというものである。単にそれだけなら日本でもありそうなものだが、特徴的だと思うのはその物量である。 

 

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今回はみっちり50枚詰め込まれていた。

物量が物量なら内容も内容で、飲食店や衣料品店のクーポン、歯科医の新規顧客勧誘、リフォーム業者、インターネット回線の販促、ホームセキュリティのご案内と幅広い。あとは税金の仕組みがややこしい米国ならではかもしれないが、税金納付の代行らしきものもあった。イメージとしては日本の新聞折り込みチラシに近いのかな、とも思わないでもないが、さすがにOak Treeの伐採代行クーポンはちょっと珍しいのではないか。

 

それともう一点米国らしいと言えるのは、封筒の内側である。

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クーポンが詰め込まれていたかと思ったら、それ以上に条件やら免責事項やらが詰め込まれているのである。封筒の下の方までびっちり印刷されているので、最終的には封筒を解体しないと読めない。というか、恐らく最初から読ませる気が無いのではないか。

そう考えると、”an offer like no other is inside!”という謳い文句も強ち過言ではないかもしれない。確かに他に類を見ないようなものが色々詰め込まれているとは思う。

 

余談

この封筒の裏面、史上最速のハリネズミとして名高い”ソニック・ザ・ヘッジホッグ”氏が出演していた。

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出演している事それ自体はいいのだが、1点気になるのはこの氏の横にある”DASH FOR CASH”とかいう標語である。もちろんこんなものはただのキャッチコピーなのでどうこう言う方が無粋という物だろうが、どうも調べたところソニック氏はあれで15歳という設定らしい。弱冠15歳にして現金に向かってダッシュとは何ともはや、なかなか資本主義に忠実なハリネズミ様とでも形容しようか。

 

ミシガン ダメージビークルコレクション

 

ミシガンに赴任した当初に感じた事のうちのひとつに、

破損した車が街中を平然と走っている

というものがある。

 

もちろん日本の町中においても、破損した車というのはしばしば観測されるだろう。ただ普通、事故などで損傷した後には、遅からず元通りに修復されるのが多数派ではなかろうか。

例えば、日本における死亡ひき逃げ事故はほぼ100%の検挙率を誇るというが、これは事故現場の遺留品から対象車種を絞り込み、それらの持ち主を地道に1台1台あたる『車当たり捜査』と呼ばれる手法の賜物ということである。過去の膨大なデータの蓄積により、わずか1mmの塗装片からでも車種を特定できるそうで、これにより高い検挙率を誇っているようだ。

が、この方法は恐らく「日本において、破損したまま走っている車は少ない」という前提のもとに成り立っている手法のように思える。極端な話だが、例えば1mmの塗装片から特定に至った車種の持ち主100人をあたった結果、50人の車が何かしら似たような破損をしていた、となったらなかなか難しいのではなかろうか、という事である。

 

いつも通り話が逸れてしまったようだが、ともあれここミシガンにおいて、何かしら破損した車が走っている確率というのは日本の比ではない。というより毎日見かける。

毎日見かけるお陰で、数か月もすれば感覚が狂うせいか見慣れてしまうのだが、数か月後に帰任を控えた今ここにおいて、初心に戻るという意味も込め、

筆者の独断と偏見によって破損具合を勝手にレベル分けした

ミシガン ダメージビークルコレクション

なるものをここに垂れ流してみたい。

 

 

ダメージレベル1: 部分的かつ軽微な損傷

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もっとも軽微なダメージレベル1。こすったと思しき傷と、そこから派生したと思しき腐食といった程度。このレベルは極めて一般的で、毎日どこでも見ることができる。アパートの駐車場にも沢山止まっているので、毎日見ざるを得ないというのが正しいが。

 

ダメージレベル2: 部分的に軽微な欠損を伴う損傷

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ダメージレベル2では、部分的なパーツの欠損が観測される。ただしその範囲は、外観に支障はあるが走行には支障なしと思われる程度に限定されている。これもかなり一般的なダメージレベルで、街を走っていれば普通に見ることができる。

 

ダメージレベル3: 部分的だが、軽微ではない欠損を伴う損傷

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外観のみならず、色々と支障をきたしそうな程度に損傷しているものをダメージレベル3と規定した。この例で言えば、ライトが機能しているのかどうかがやや怪しい。またレベル2に比べてかなり損傷部位が広く、内部の構成が剥き出しになっているのが特徴的。このレベルになると少し出現率が下がり、通勤中に1日に1~2回すれ違うかどうかといったところ。

 

ダメージレベル4: 部分的だが、走行時に支障のある損傷

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レベル3とやや見分けがつきにくいが、ダメージレベル4は走行時に明らかな支障が生じると判断される個体に適用される。上記の写真で言うと、片方のライトが使用不能になっていると判断されるためレベル4に分類した。このレベルだと更に出現率は下がる。通勤中は多分あまりすれ違わないだろう。歴戦の猛者が集うウォルマートの駐車場に停める際、近くに1台あるかないかという程度だろうか。

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こちらも左側のライトが稼働しないであろうことが推察されるため、恐らくレベル4に分類されるだろう。まあこちらの場合、一番気になるのは剥き出しでぷらぷらしているコードの方だが。

 

番外編: 補修をしているが隠しきれない損傷

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レベル5へ移る前に、一つ番外編を挟みたい。基本的にダメージビークルは補修されてないからダメージビークルなのだが、補修が施された跡のあるものがたまに見られる。ただ補修と言ってもそのレベルは様々で、例えば写真ような手合いは結構散見される。このガムテープが意味を成しているのかどうかは不明だが、白いボディにわざわざ黒いガムテープが使用されている点に芸術性が感じられたということで番外編に収録された。

 

ダメージレベル5: 全体的かつ走行に支障があり、かつ痛々しい損傷

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レベル4の時点で走行に支障があるのだが、ダメージレベル5はそれに加え、全体的かつ痛々しい損傷として分類した。

写真の車の場合、ライトが稼働しないレベルの損傷に加えて内部は剥き出しに、ボンネットは閉まらずエンブレム部分も抜け落ちている。加えて写真では見えないが両サイドのドア付近が変形し、リアのフレームにも歪みが見られた。前後及び左右にダメージが見られることから、複数回の修羅場を乗り越えた傑物ということになるだろうか。どこまでを部分的・どこからを全体的と捉えるかは諸説あるが、例えば番外編で紹介した白カムリは両サイドに破損が見られるため、敢えて分類するならばレベル4と5の中間ということになるかもしれない。

このレベル5ともなると流石に珍しく、歴戦の猛者が集うウォルマートの駐車場を練り歩いても、ひょっとすると見つからない場合もあるかもしれない。

 

ダメージレベル6: バックミラーで一目見ただけで、戦慄が走る損傷

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レベル6ともなると、もはや部分的とか全体的とか走行中の支障がとかそういう分類ではなく、生理的に恐怖を感じるかどうかで規定される。写真は路肩に停車中にバックミラーで撮った極めて不鮮明なものだが、迫りくるその姿は明らかに只者ではない。晴れているにも拘らず、何故かワイパーが作動している点もいたずらに恐怖を煽る。追い抜かれざまに確認すれば、予想通りボディ全体に激しい損傷が見られ、後部座席左右のガラスが一部斜めに欠け落ち、恐らくその部分にビニールと思しき何かが貼ってあった。正直言って何故平然と走れているのか不思議なレベルですらある。

このレベルはなかなか見られず、歴戦の猛者が集うウォルマートの駐車場ですらこれまで数回しかお目にかかったことが無い。筆者の場合は近隣住民にこれのオーナーがいるらしく、3日に1回くらいのペースですれ違ってしまうが。

 

補足:もらい事故を避けるために

このブログでは珍しくやや真面目な話になるが、ダメージビークルレベル4以上の車は往々にして動きを予測するのがかなり難しい。特にどちらに曲がるのか、車線を変更するのかしないのか、とかいった情報が乏しい場合が多い。ミシガンに明るい諸兄姉であれば、「そんなの普通だよ、だってウィンカー出さない人多いじゃん」と思われるかもしれない。確かにそれはその通りなのだが、ダメージレベル4以上の車に関しては出す出さない以前の問題で、そもそも物理的に作動しない事が多いのである。

従って運転中に損傷の大きい車を見かけた場合は避けてやりすごすか、少なくとも車間を離す事をお勧めする。特に高速道路上ではできる限り距離を取った方が吉である。そもそもダメージビークル自体が『過去に事故を起こしたことがあります』という事実を折り紙付きで太鼓判を押されているようなものだから、ある意味では黒塗りの高級車よりも危険と言ってもいいだろう。

 

ともあれ、以上が筆者の独断と偏見および恐怖によって分類された、ミシガンダメージビークルコレクションである。

だいたいレベル5までならば歴戦の猛者が集うウォルマートの駐車場意図せず開催されているため、ミシガンに来訪された際には一見の価値ありのコレクションである。もらい事故だけは気を付けたいが。

 

 ※この記事は一部脚色が加えられておりますが、ある程度は事実です。

  

追記

ミシガンに住んで数十年のマネージャーにこの写真を数枚見せた上で、

「この手のダメージビークルは危険ではないのか?ミシガンでは違法にならないのか?」

と訊いたところ、

「いやいやお前にはそれが安全に見えるのか?どう見ても安全じゃないし違法だろう。それだといつ警察にしょっぴかれても文句は言えないぞ。

 だから、長いトラベルをする場合は一応直しておいた方が良い。」

とのこと。

 

なるほど。

長いトラベルをする場合は、か。

 

マジックマッシュルームをミシガンで味わう【EDO RAMEN】

 

マジックマッシュルームとは何たるやというと、いわゆる幻覚キノコ(毒キノコ)である。

www.fukushihoken.metro.tokyo.jpかつては合法だったそうだが、今日の日本においては麻薬原料植物として規制されている一品だ。当然国内では入手も摂取もできない。

 

このマジックマッシュルームは、故中島らも氏が誇る稀代の奇書『アマニタ・パンセリナ』にも登場していた。

咳止めシロップで有名な彼のブロンや、幻覚サボテンのヒクリ様など個性の強いメンバーが登場する本書の中にあって、冷蔵庫の奥から干からびた姿でひょっこり登場したマジックマッシュルーム様には、なかなかどうして驚かされた諸兄姉も多いだろう。

 

そんなマジックマッシュルーム閣下だが、ここアメリカでも基本的には違法である。

裏を返せば、一部の州では合法という事らしい。

マジックマッシュルームに限らず、煙草やドラッグ等の依存性のある物質の取り扱いは国によっても異なるので、さもありなんといった感じではある。

 

そんなマジックマッシュルーム情勢の中、昼食にはるばるEDO RAMEN(エドラーメン)までやってきたわけだが、

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www.yelp.com

久しぶりの来訪だったこともあってメニューが新しくなっていた。

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そしてその中に、見るからに怪しい名前の新顔が登場していた。

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そして、こちらがそのご尊顔。

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恐らく豆腐と豆腐の間に身を隠しているのがそれだろう。

 

ルッコラと海苔で形成された森の中から発掘し、えいやあと噛みしめてみれば、何やら強烈な風味と共に眼前の景色が歪んで…

 

 

ということは残念ながらなく、実際には

WHITE MUSHROOM

BROWN MUSHROOM

BLACK TRUMPET MUSHROOM

SHITAKE MUSHROOM(椎茸)

等がふんだんにぶち込まれているだけである。

さしずめ『マッシュルームたちが奏でるマジックのようなラーメン』というところだろうが、率直に言って味はあまりおいしくなかった。

凡庸なベジラーメンと言う感じの印象で、名前のインパクト以外で敢えてそれを選ぶメリットはなさそうだ。

 

 

そもそもミシガンではマジックマッシュルームは違法であるし、合法化されたと言われている州でも実際にはあくまで医療用としての話らしい。

news.line.me

ちなみに名誉のために言っておくが、このEDO RAMEN自体は(ミシガンエリアとしては)クオリティの高いラーメンを出している。よって訪れる機会のある諸兄姉にあっては、MAGIC MUSUROOM以外のメニューをおすすめする。SPICY MISO RAMENとかEGG DROP RAMEN等は日本のラーメンに近いし、変わり種だがNASHVILLEも結構レベルが高い。

 

 

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車で訪れるので飲めないが、”SENSEI”というウィスキーが毎度非常に気になる。

 

あまり買わない方が良いシャンパン【California Champagne】

 ※この記事は多くの脚色が加えられておりますが、ある程度は事実です。

 

大学院生時代、成り行きでハンガリーを訪れた事がある。

その際ちょっと時間があったので、ちょっとだけ高級なレストランへ赴いた。目当ては食べられる国宝として名高いマンガリッツァである。

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後で調べたら、どうやら日本でも食べられるらしい。

何分かなり前の事で、実はその時のマンガリッツァの記憶はあまり残っていない。というよりそれより記憶に残っているのが、『ワインリストが全く理解不能だったこと』である。仮にボーイが「ここには呪いの呪文が書いてあるよ」と言ったとしても信じたかもしれない。

最終的にはボーイのおすすめをいくつかもらい、それが非常に美味であったから満足したのだが。

 

そんなこともあって帰国後、ワインリストが読めるようになりたいと熱望したものである。そのため教科書として数冊の本を読み漁りながら、並行して近所のリカーショップにも月3回ほど通い、購入と試飲を繰り返した。

そうこうして2年ほど経過すると、あまりに高級だったりマニアックな店でもなければ、ワインリストで混乱することはなくなってきた。またいわゆるBYOを愉しむ余裕も出てきたことを記憶している。

www.enoteca.co.jp

 

BYOをする場合、基本的にはどこかの酒屋でワインを購入しておく必要があるのだが、そういう時に筆者はとある珍妙なマイルールに従うようにしている。

 

それは、

1. 1000円以下のワインは、たとえ土下座されても買ってはならぬ

2. 4000円以上出すなら、シャンパンを買っておけばよかろうが

というものである。1000円以下のシャンパンなど通常存在し得ないため、これら2つの指標が喧嘩することはない。

無論、どちらも筆者の主観が極めて多分に絡んだ曖昧な指標であるからして、

1000円以下でもおいしく飲めるワインはあるし、

シャンパン以外の4000円以上のワインが無価値と言うわけではない。

ただ、特にBYOの場合は自分以外の参加者がいる事が前提としてあるため、より無難なセレクトをするためにそういう指標が朧気ながら形成されてきた、と言うだけの話である。

 

 

衝撃の邂逅

ところでこの指標は円単位であるから、当然筆者が日本で使っていた指標である。

ではここ米国においては指標はどうすべきか、と漫然とインターネッツを彷徨っていると…奴はいた。

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大手スーパーのTargetで発見。

なんとここアメリカでは、10ドル以下でシャンパンが買えるというのである。

ただ残念ながら品切れであった。それはそうだろう。シャンパンがたったの7ドルとあらば、買い手が殺到することは想像に難くない。恐らく閉店セールか何かで特価中の特価、出血大サービスといった類で安売りされていたものなのだろう。

 

いささかの落胆は隠せなかったが、Targetがだめなら競合相手のWalmartはどうかと足を運んでみると、

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奴はいた。

1ドル=108円とすると、6.98ドル=753.84円。

どうやらここ米国では、本当に1000円以下でシャンパンが買えてしまうらしい。しかも今回は文字通り山積みでご対面である。さすが世界一位の売上を誇る企業である。

 

ともあれ1000円以下のシャンパンが存在するならば、筆者のマイルールは煙を立てて機能停止する他ない。

こうなってしまっては、購入しそのお手並みを拝見させていただこうではないか。

 

ラベルを見てみる

早く飲んでみたい!とはやる気持ちを抑え、まずはラベルを舐めるように見てみるとしよう。ワインにおいて、ラベルとは大変重要な情報源なのだ。

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筆者は寡聞にして聞いたことが無いのだが、Cook'sというメゾンらしい。Wikipediaのシャンパーニュリストを参照してみたものの、このメゾンの名前は見当たらない。1859年から続いているならば載っていてもよさそうなものだが、よほどマイナーなメゾンのようだ。

CALIFORNIAという文字列がなんだか気になるが、それでも後ろにCHAMPAGNEと誇り高く書いてあるのだからシャンパンなのだろう。CHARMAT METHODというのも少し気になるが、仮にもCHAMPAGNEとしっかり書いてあるのだから、シャンパンなのだろう。よく見ればシャルマ製法と読める気もするが、まさかそんなことはあるまい。おおおかたシャンパーニュ製法と書こうとして誤植してしまったのだろう、ラベルを間違えしまうとはなかなかうっかりさんである。

 

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”1859年から並外れて高品質のシャンパンを生み出している”とあることから、品質には一家言あるメゾンであることが伺える。しかもChampagneとしっかり固有名詞で書いてある。リンゴや梨のフレーバーや、トースト、フローラルなニュアンスが感じられるようだ。BRUTとある通り、近年主流の辛口なシャンパンのようである。

 

飲んでみる

栓を開けた瞬間、リンゴやトーストを彷彿とさせる芳香が鼻腔をくすぐるということ全くはなかった。

しかし注いでみると、シャンパンらしい細かな泡…ではなく大分荒っぽい泡が主張する。

そして口に含むと馨しい香りと共に辛口の切れの良さが…と言う準備まではしていたのだが、とてもBRUTつまり辛口とは思えないほど甘く、大味だった。

 

 総評

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※補足

この記事はCook'sを貶める意図で書いたわけではないが、これは間違いなくChampagneではない。つまり、シャンパンを買いたいならこれは買ってはいけない。

アメリカに日本で言うところの不正競争防止法があるのかは存じ上げないが、日本でもかつてこのような事件があったわけであって、シャンパンの威を借りて販促を計るのはあまり褒められた行為ではないだろう。

もちろん我はこのCook'sの味が好きなんだ!邪魔をするな!」 という諸兄姉に対しては、それそれで存分にお楽しみいただければと思う。