モノ魔リスト

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必要ではない。だがよく考えてみると、たしかに必要ではないようだが愛すべきモノたち。

アメリカの韓国系スーパーで眺める現地の日本語【アメリカン和牛】

 

米国には多岐にわたるスーパーマーケットがあり、筆者も週末になるとよく食材の買い出しに赴く。

 

品質はそこそこだがとにかく安いWalmart(ウォルマート)

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日本人にもトレジョとして有名なTrader Joe's(トレーダージョーズ)

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何となくお洒落なNino Salvaggio(ニノサルヴァッジョ…と読むのだろうか

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そして値段は高いが高品質なものが並ぶWhole Foods(ホールフーズ)

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あたりにはよく訪れる。

スーパー毎にプライベートブランドを展開していることもあり、それぞれ品揃えは意外に結構違う。そのため1日に複数のスーパーをはしごすることもしばしばである。

 

ただ、日本人となるとやはり日本の食材とか調味料も欲しくなる。上記のスーパーではあまり扱っていないため、そういう場合に一番確実なのは日本系スーパーのOne World Market(ワンワールド、ワンワ)である。

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ただしここは筆者の住まいからはやや遠く、頻繁に訪れるのはやや骨である。

 

こういう場合に便利なのが、中国系或いは韓国系のスーパーである。この手のスーパーは、大抵の場合は日本系の食材もそれなりに取り揃えている。筆者の行動範囲で考えた場合、H Mart(エイチマート)がそれにあたる。

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このエイチマートはアメリカやカナダに出店している韓国系のスーパーで、全米で60店舗以上展開しているそうである。

ここであれば大体の物は手に入るわけで大変重宝するわけだが、その店内で見える日本語やその解釈がちょっと面白いので、垂れ流したい。

 

 

まずはこちら。

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国名がついたパンと言えば、なにをおいてもフランスパン(バゲット)が有名だろう。がしかし、ジャパニーズパンなんてあったかな?と思って棚を覗いてみると、
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どうもこのへんがジャパニーズパンの範疇になるらしい。天然酵母パンは何となくわかるが、大福とかカステラまで含まれるとは恐れ入った。そもそもカステラはポルトガルから伝来したものだったような気もするが、日本で独自の進化を遂げたからということだろうか。

 

続いて肉売り場へ行くと、こんなコーナーがあった。

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ここにはSHABU SHABU MEATとか書いてある肉が置いてあるに違いないと思えば、

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そういうわけではないらしく、牛胸肉のスライスが置いてあった。ちなみにアメリカの薄切り肉は一般にかなり厚いので、これだとしゃぶしゃぶには不向きである。

じゃあしゃぶしゃぶの概念が間違って伝わっているのか、というとそんなことは無いらしく、別のコーナーにひっそりと売られていたりするから面白い。

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こちらはシールで"Best for SHABU SHABU"と書いてあるし、確かにしゃぶしゃぶに向いていそうな薄さである。こうなるとさっきのSHABU SHABUコーナーは何のためにあるのか、とは思うのだが、そういう細かいところはあまり気にしないのが肝要らしい。

 

そしてそんな肉売り場でひときわ目を引くのが、

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WAGYUコーナーである。

まさかこの米国のスーパーで国産黒毛和牛が拝めるとは思ってもみなかっ

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たが、予想通り拝めなかったようだ。

ご存知の諸兄姉もおられるだろうが、ここで売っているのは

AMERICAN WAGYU

なんである。

直訳すると米国の日本の牛肉とでもいおうか。初めて見た時は意味が分からなかったのだが、どうも日本から米国へ持ち込まれた和牛の血統をひく牛肉の事を指すらしい。初めて持ち込まれたのは40年以上も前の事らしい。調べればAmerican Wagyu Associationなる組織も存在するそうで、少なくともH Martが勝手に名乗っているとかそういうわけではないようで一安心である。

これはあまりに気になったので食してみたが、サシがやや少ない和牛、といった印象であった。米国では牛肉といえば赤身肉がメインなので、サシが入りすぎているものは逆に売れないということらしい。筆者も近年は年のせいか脂の多いものはもたれるようになってきたので、アメリカン和牛は意外にも好印象であった。価格は肩の薄切りで100gあたり350円程度だった。

 

 

AMERICAN WAGYUに全てを持っていかれてしまった印象はあるものの、他にも例えばラーメンや寿司が独創的な進化を遂げていたり、鉄板料理の事がなぜかHIBACHIと呼ばれていたりと、生活の端々に見える日本語は結構面白いものが多い。

 

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"Lucky Apple"として売られていた林檎。皮の上から文字がプリントされているらしい。こういうのは日本ではあまり見ないが、漢字一文字だけだとこれがどこの国を意識しているのか、俄かにはわからないのが面白い。韓国は歴史の過程で漢字を廃止してしまったから違うと判断できるが、日本語と中国語にはどちらも『福』があるからである。どちらの国においても似たような意味のようなので、どちらにせよ"Lucky Apple"としては成立するのだろうが。

 

 

百貨店のアウトレットは本当にお得なのか 3/3【再びノードストローム編】

 

前回、前々回と2記事にもわたって、百貨店のアウトレット(オフプライスストア)についてああでもないこうでもないと述べてきた中で、どうやら一応お得な商品はあるらしい事が分かってきた。

 

あとはオフプライスストア専売品、つまりあんまりお得じゃない商品の有無を確認するだけである。

 

この専売品の有無については、1回目の記事で用いたノードストロームラックにて、大変わかりやすい事象を発見したので掲載してみたい。

 

 

オフプライスストア専売品の有無

まずこちらはノードストロームラック、つまりオフプライスストアのページ。

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ここで"Nordstrom"と検索してみると、

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画像のように、1266件のアイテムがヒットする。

 

更にこのヒットしたアイテムの、ブランド内訳を舐めるように見ていくと、

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本命のNordstrom以外に、容疑者が5名も出てきた。
彼らが専売品か否かは、本家Nordstromのサイトで検索すれば一目瞭然である。専売品であれば、百貨店本体では売られていないはずだからだ。

ということで、Nordstromのサイトで一人一人尋問を実行した。

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その結果、5名中4名は身の潔白を証明できた。これらはいずれもNordstrom本体で取り扱いがあるようだ。個数から見ても恐らく通常ラインとして存在するのだろう。

 

一方、名前が見るからに怪しいNordstrom Rack容疑者はというと、Nordstromのページで”Nordstrom Rack”と検索した瞬間、

自動的にNordstrom Rackの公式ページに遷移した。

以上からこのブランドは百貨店本体で取り扱いのない、オフプライスストア専売品と判断できる。探せばこれ以外にも専売品ブランドがあるのかもしれないが、いずれにしても間違いなくオフプライスストアにもやっぱり専売品はあると言える。

 

 

それでも相対的にお得なのではという推量

一見お得そうなオフプライスストアにもやはり専売品が存在しているとわかってしまった。となると結局米国のオフプライスストアも、日本のアウトレットモールと同じく大してお得ではない商品ばかりであまり見る価値は無いのだろうか、と思われるかもしれない。

が、筆者個人としては見る価値は割とあると愚考している。

 

というのは、これはブランドやセレクトショップのアウトレットではなく、百貨店のオフプライスストアであるからである。

例えば日本で有名セレクトショップのBEAMSのアウトレットへ行くと、商品の多くがBEAMSHEARTというアウトレット専売品で占められている。一説によれば9割方が専売品で占拠されている店舗もあるという。お得な商品が欲しい諸兄姉からすれば、この状況は身もだえするだろう。

一方で今回のノードストロームラックで言えば、筆者の検索で検挙された専売品は600点余り。対して、ノードストロームラック全体の商品数は少なくとも10万点超である。単純な計算でいえば0.6%しか専売品が存在しないということだ。そもそもが百貨店なので、全体の取扱点数が膨大すぎるのだろう。

それともうひとつ、米国は(日本人からすると)異常なほど返品規定が緩い。

そのため『売り切れそうだからとりあえず買っておいて、気に入らなかったら返品しよう』という行為が日常的に行われている。オフプライスストアにはそうやって返品された商品も並んでいると聞くから、専売品など作らなくとも商品供給には困らない、という背景もあるのだろう。ギフトレシートなどという狂った仕組みすらあるし、米国の返品文化についてはまたどこかで垂れ流したくもある。

 

いつも通り冗長になってしまったが、

米国のオフプライスストアは…それなりにお得

というのが筆者なりの曖昧な答えである。

 

 

余談

3記事にもわたってああだこうだと述べてきたが、前回記事で検証に使ったサックスオフフィフスのマフラーについては、本当にお得そうなので実際に購入してみた。

というのもこのマフラー、Webの説明には何故か記載がないがピアチェンツァとのダブルネームなのである。

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店頭で確認するまで、全く気付かなかった。

市場に出回っているカシミア半分以上は偽物で、かのUnited Arrowsで売っていたとしても安心できないとすら言われている。ただ、さすがにあのアザミ好き好きPIACENZAの生地とあらば信用してしまおうかという算段である。実物の肌触りもなかなか小気味よく、光沢も非常に美しいしなかなか暖かい。

日本で同社の似たような商品を買うとやはり2万円するようなので、それが60ドルになると言うならもうけものだろう。

 

百貨店のアウトレットは本当にお得なのか 2/3【サックスフィフスアベニュー編】

 

前回の記事においては、百貨店のアウトレット(オフプライスストア)が本当にお得なのかどうかについて検証するため、老舗百貨店のノードストローム系列を例に挙げて愚考を重ねてみた。

 

その検証の過程で2つの邪な疑念、即ち

1.オフプライス専売品・専用品なんじゃないのか

2.安くしたした詐欺なんじゃないのか

という半ば言いがかりに近い案を勝手にぶち上げたわけだが、このうちの1.についてはどうにか疑念が晴れるところまでどうにか漕ぎ着けることができた。

ただしノードストローム系列による検証だけでは限界を感じたため、今回は高級百貨店として名高いSaks Fifth Avenue系列に舞台を移し、例の疑念について引き続きに取り組んでいきたい。

 

 

Saks Fifth Avenueでセール品をストーキングしてみる

というわけで今度は、高級老舗百貨店のサックスフィフスアベニューでストーキングを開始する。こちらには、サックスオフフィフスというオフプライスストアがある。

例によって筆者は血眼になってカシミヤのマフラーを捜索しており、Saks Off Fifthにてこれを発見した。 

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このページによれば、

・ブランドはSaks Fifth Avenue

・Berry Navyの1色だけの模様

・もともとは198ドルだったものが、49%オフで99.99ドル

・クーポンコードを適用すれば99.99ドルから更に40%オフ

ということが見て取れる。

これは最初の価格からすると約70%オフということを意味し、相当な値引き率である。しかしここまで値引き率が高いと、逆に疑念も強まるというのが人の情というものであったりするんではないだろうか。

 

というわけで例によって、親元の百貨店であるSaks Fifth Avenueで同じ商品を探してみた。

 

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このページからは、下記が読み取れる。

○ ブランドはSaks Fifth Avenue

○ 商品名は完全に同じ

○ 商品画像もやはり 使い回し 同じ

○ Berry Navyのみ売り切れ

○ もともと198ドルで、現在セール中で138.60ドル

 

まずは同じブランド名、商品名、画像であることから、恐らくは同じ商品であることが判る。前回のNordstromと同じく、疑念1は解決されたと言っていいだろう。

 

また、今回は親元のサイトで198ドルと元値が確認できた。サックスオフフィフスで元値は198ドルと主張しているので、それと全く同じ金額であることが判る。

疑り深い筆者ゆえ、近隣のSaks Fifth Avenueで直接確認も行った。当該マフラーの値札にはしっかり198ドルと記載があり、それが30%セールの棚に置かれていた。これはネットショップにある内容と完全に同期している。

これにより、

安くした詐欺ではなく、実際に安くなっている

と考えてもいいのではないだろうか。

従って筆者の邪な疑念2についても払拭されたと判断するに至った。

 

 

また今回のサックスの例からは、下記のような値下げフローも伺える。

1. まずは百貨店で定価で販売する

2. 一定期間がたったら百貨店内でセールを行う

3. その後オフプライス店舗に送って、更に価格を下げて売る

4. クーポンコード発行などで更にでもっと価格を下げる

 

時期が過ぎたと百貨店側で判断された物から、恐らく在庫まるごとオフプライス店舗へ送り、百貨店ではその空いた容積を使ってガンガン新作を流動させる、という寸法なのではないかと憶測する。

オフプライス店舗から百貨店へ送り返すという事はあり得ないであろうから、こうすれば百貨店とオフプライス店で、同時期に全く同じ商品が並ぶということも起こり得ない。実際に実店舗を見た時も他の色のマフラーは棚に平積みされていたが、Berry Navyだけはひとつもなかった。

 

 

以上、やや偏執的な追い回しからわかったこととして、

・オフプライスストアの商品には、実際に百貨店に並んでいた商品がちゃんとある

・百貨店に並んでいた時より実際に安くなっているものもちゃんとある

と言えるのではなかろうか。

 

 

 

いや。

ここにきて大事な要素を忘れていた。

前回と今回の記事の方法により、疑念1および疑念2を部分的に晴らすことはできた。

が、

『百貨店のオフプライスストアには、オフプライス専売品はひとつもない』

と証明したわけではない。

本当にお得なのかを検証するならば、

専売品はあるのかかないのか、

仮にあるならば、それを避ける方法はあるのか、

というところまで検討して然るべきだろう。

 

この専売品の有無に関しては、前回用いたNordstrom系列に興味深い商品を発見したため、次回それを引っ張り出して愚考を重ねてみたい。

 

 

百貨店のアウトレットは本当にお得なのか 1/3【ノードストローム編】

 

世の中には多くの高価なブランド品が存在するが、それらのうちいくらかは定価より安く手に入る事もある(代表例はセール)、というのは他の有益なブログや情報媒体にて語られる通りである。

これは日本においてももちろんそうだが、アメリカでは更にこの機会が多いように感じている。

 

その要因の一つとして、百貨店が直々に運営しているオフプライスストア(百貨店のアウトレットみたいなもの)の存在がある。

前回の記事では、どの百貨店がどの店舗を運営しているかについて垂れ流した。

bran-cpain.hatenablog.jp

 

だが、

百貨店のオフプライスストアがある=ブランド品が安く入手できる!

と即断して良いものだろうか。

というのも、陰険な筆者からすれば、下記のような邪な疑念が想起され得るからである。

 

邪な疑念その1:オフプライス専売品・専用品なんじゃないの?

あたかも『百貨店で売っていた商品』を値下げしたように演出しつつ、実際には『もとから安値で売る事を前提に企画・製造された商品』を売っているだけなのでは?という疑念である。

 

これは日本のアウトレットパークなんかでよく見る『アウトレット専売品』と非常に似通った手法で、これが理由で「日本のアウトレットに本当に安いものは殆どない」などと言われたりもする。

最近ではそれも広く市井に知られることとなり、例えば「アウトレット専売品」とでもGoogle検索しようものなら、

節子、それドロップやない…アウトレット専売品や

アウトレット専売品の倒し方、知ってますよ

といった類の記事がすぐにヒットするくらいにはポピュラーだ。その手の有益なサイト様によれば、9割以上がアウトレット専売品という店もザラにあるらしい。

オフプライスストアはアウトレットとは少し違うとはいえ、似たようなことが起きていてもおかしくはないだろう、と思うわけだ。

 

邪な疑念その2:安くしたよ詐欺なのでは?

例えばもともと百貨店で100ドルで売れ残ったものがあったとして、それをオフプライス店舗に移して、150ドル→100ドルに下げました!みたいな値札を付けて売っているのでは?という疑念である。

売っている店を変えりゃ誰も元値なんてわかりゃしないよね、といった理屈があるのではないかと邪推してしまうわけだ。

 

 

いずれも我ながら極めて度量の狭い疑念だとは思うが、しかし気になって仕方がないのだから文字通り仕方がない。

  

というわけでここではかような筆者の邪な疑念に則り、実際にオフプライスストアで並んでいた商品に着目し、その流れをややしつこく追い回してみたい。

今回は全米最大規模でオフプライスストアを展開している、ノードストローム系列で追い回しを敢行してみた。

 

 

Nordstrom Rackでセール品をストーキングしてみる

前回の記事でも言及したが、老舗百貨店のNordstromは精力的にオフプライスストアを展開している百貨店の一つである。オフプライスストアの名前はNordstrom Rack

 

筆者は先日、欠食児童の如くカシミヤのマフラーを捜索していた。その探索結果としてNordstrom Rackにてひとつのマフラーを見つけた。

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こちらのページの紹介によれば、

・ブランドはNordstrom

・ベージュだけ在庫がある模様

・もともとは120ドルだったところ、61%オフの49.97ドル

ということが読み取れる。

しかしこのページだけでは、先述の疑念1および疑念2のどちらも払拭はできない。本当に百貨店で売られていた(専売品ではない)かどうかは不明だし、元値が120ドルだったかなんて事ももちろんわからない。

 

 

というわけで、親元のNordstromのサイトで同じ商品があるかどうかを探してみた。

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このページを見ると、下記の事実が伺える。

○ ブランドはNordstrom

○ 商品名は完全に同じ

○ 商品画像も 使い回し 同じ

○ 百貨店側では既に売り切れ扱いになっている

× 値段は不明

ということがわかる。

 

加えてNordstrom Rackの実店舗に確認のため訪れたところ、実物についているタグもどうやらNordstromのものがついており、その上から覆うようにNordstrom Rackの値引きシールがぺたっと貼られているような状態であった。

商品名、画像が完全に同一で、かつ実店舗のタグの様相も百貨店のものと変わらないのであれば、

この商品自体はNordstromで売られていたものと同一

と考えてもいいのではないだろうか。

従って筆者の邪な疑念1については払拭できる、つまりこの商品はオフプライスストア専売品ではないと判断するに至った。

 

 

一方、はっきりした値段の記載がないため価格の推移については未だ不明である。

従って、筆者の邪な疑念2を詳らかにするには材料が足りない。その後もいくらか調べてみたが、どうやらNordstromでは売り切れ後の商品の値段が見られないようである。

 

よって次回より、別系列の百貨店にて新たなストーキングを試み、筆者の邪な疑念2について詳らかにしていきたい。

 

アメリカの有名百貨店とアウトレット店舗一覧を垂れ流してみる

 

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日本でもそうであるように、米国にもやはり数多くの百貨店が存在し、日々しのぎを削っている。そして景気の動向や消費傾向の変化に伴い、業界全体としてやや苦境に立たされている状況も共通している。

例えば高級百貨店として高名な米バーニーズニューヨークが破綻したというニュースは、人によっては記憶に新しいかもしれない。

 

そんな共通点もある中、米国における百貨店事情を漠然と眺めると、日本と少し異なる様相を呈している側面もある。

そのひとつとして、『オフプライスストア』が公然と存在している事がある。

c-fine.jp

 

そのオフプライスストアの形態にも、

1. 百貨店が直々に運営しているタイプ

2. 百貨店とは別の会社が運営しているタイプ

の2つに大別されるようである。

 

1のタイプで有名なのはTJXカンパニーが手掛けるマーシャルズTJマックスであり、2のタイプとして有名なものにはノードストロームが経営するノードストロームラックがある。この辺りについては、既に以前の記事で垂れ流した通りである。

bran-cpain.hatenablog.jp

 

この手のストアは季節に関係なく、年がら年中セール価格で販売している。そして、そのセール価格販売から生み出される売上というのも決して無視できないレベルだそうである。

ノードストロームで言えば、売上全体の約20%ノードストロームラックによるものらしく、決して無視できない割合である。実際、仕事終わりや週末に訪れると結構な混み具合で繁盛しているように見える。老舗百貨店のノードストロームでこの状況なのだから、他の百貨店においても同様の事情だったとしてもおかしくない。

 

 

となると、

どの百貨店が、

それぞれどういった店舗を、

どの程度の規模で展開しているのか、

ということが気になって仕方がないのが偏屈な筆者というものである。

 

よって、本体となる百貨店を黒字

そのアウトレット店舗(オフプライス店舗)を赤字

 

で表記して垂れ流していく事にする。

※なおあくまで『垂れ流す』であって、断じて『まとめる』などという大層なものでは無い。この程度の情報は今の時代、ググればすぐに出てくるような代物なことは筆者とて重々承知である。

 

 

Macy's (メイシーズ)

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創業:1851年、ニューヨーク

店舗数:636 (2019年)

備考:親会社としてMacy's, Inc.が存在する。全体的に手ごろな価格帯のブランドを扱っている、一般庶民向けの百貨店。イメージとしてはスーパーマーケットの延長線上、と言った方が正しいかもしれない。Thanksgiving DayにNYで行われるパレードは非常に有名。

 

Macy's Backstage (メイシーズ バックステージ)

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店舗数:120 (2019年)

備考:Macy'sのオフプライスストア。そもそもMacy'sが高級デパートと言う感じではないので、今回紹介する中ではもっとも安価なものが揃う。値引き額も大きいイメージ。所謂高級ブランド品はあまりない。どのオフプライス店舗よりも展示が大雑把。ワゴンに放りこんでそのまま、といったような様相も珍しくないため、本当に在庫処分と言う感じに見える。

 

Bloomingdale's (ブルーミングデールズ)

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創業:1860年、ニューヨーク

店舗数:38 (2019年)

備考:親会社はMacy's, Inc.で、Macy'sと同じである。Macy'sよりはやや高級な、所謂百貨店らしい百貨店といったところ。立ち位置は恐らくNordstromと似たようなライン。

 

Bloomingdale's Outlet (ブルーミングデールズ アウトレット)

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店舗数:19 (2019年)

備考:残念ながらミシガンにはないため、筆者は未来訪。

 

Nordstrom (ノードストローム)

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創業:1901年、シアトル

店舗数:119 (2019年)

備考:元々はシアトルで創業した靴屋が起源。米国有数の規模の百貨店で、立ち位置はサックスフィフスアヴェニューよりやや下の高級百貨店、といったイメージ。米国の百貨店なのだが、何故か日本語のWikipediaの記述が充実しているのが興味深い。

 

Nordstrom Rack (ノードストローム ラック)

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店舗数:251 (2019年)

備考:百貨店が直接運営するオフプライスストアとしては、最多の出店かつ最も著名と思われる。オフプライスストアは通常ワンフロアなので、出店しやすいという事もあるのかもしれない。もともと靴屋として創業しただけあってか、マグナーニとかフェラガモ、ルブタン等も格安で見られる以前も垂れ流した。

ECサイトにも力を入れている模様で、Nordsrom Rackはウェブサイトも充実している。更にそれとは別にHauteLookというECサイトも持っているが、UIもかなり似ているので、たまにどっちがどっちかわからなくなる。

 

Saks Fifth Avenue (サックスフィフスアベニュー)

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創業:1867年、ニューヨーク

店舗数:46 (2015年)

備考:老舗高級百貨店として有名。立ち位置としてはNordstromよりもう少し上で、Neiman Marcusと競合関係にある模様。筆者の感覚としては、フロアの雰囲気やラインナップも含めて日本の伊勢丹に近いイメージ。

 

Saks Off 5th (サックスオフフィフス)

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店舗数:110 (2015年)

備考:お買い得なブランドももちろん多く置かれているが、いわゆるハイブランドの製品が結構ある。さすがに値引き率はやや辛いものの、プラダの鞄なんかも普通にアウトレット価格で売られている。サングラスの品揃えも多い印象で、定番のレイバンはもちろん、クロエやバルマンといったあまり見かけないものも。また、冬場はカシミヤ製品が結構放出されており、珍しいところではピアチェンツァのマフラーなども見かけた。Nordstrom Rackと同じく、ECサイトにも力を入れている印象。

 

Neiman Marcus (ニーマンマーカス)

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創業:1907年、テキサス

店舗数:43 (2019年)

備考:こちらも高級百貨店として有名で、サックスフィフスアベニューとはライバル関係にあるようだ。Neiman Marcus Group Inc.を親会社としている。サックスがやや重厚感のあるフロアスタイルだとしたら、ニーマンはそれをややお洒落に振った感じ、というのが筆者の安直なイメージ。

 

Neiman Marcus Last Call (ニーマンマーカス ラストコール)

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店舗数:30

備考:ハイエンド性を保つためか、最近になってオフプライス形態の店舗を閉店している模様。競合のSaks同様、ECサイトは充実している。

 

Barneys New York (バーニーズ ニューヨーク)

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創業:1923年、ニューヨーク

店舗数:経営破綻につき閉鎖

備考:こちらも米国を代表する高級百貨店で、サックスやニーマンが主な競合。1996年に一度経営破綻し、2019年にふたたびチャプター11の適用を申請。

経営破綻後も紆余曲折あったが、最終的にはかつての競合相手であるサックスフィフスアヴェニュー内に、ショップインショップとして生まれ変わることになったようである。2019年12月現在、バーニーズニューヨークのURLは自動的にBARNEYS at SAKSというページに転送されるようになっている。

なお日本のバーニーズ・ニューヨークとの間に、直接的な資本関係はない。 

 

Barneys New York Warehouse (バーニーズ ニューヨーク ウェアハウス)

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店舗数:経営破綻につき閉鎖

備考:こちらも2019年12月現在、Barneys WarehouseのページはSaks Off 5thへ転送されるようになっている。

 

Lord & Taylor (ロード&テイラー)

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創業:1826年、ニューヨーク

店舗数:38 (2019年)

備考:米国最古ともいわれる老舗の百貨店。こちらも苦境に立たされており、2019年1月にはNYの旗艦店を閉店し、同年8月にはサンフランシスコの新興企業Le Tote(ル・トート)へ売却されることとなった。このル・トートはアパレルや雑貨のレンタルを手掛ける企業で、アパレル版ネットフリックスとも呼ばれているようである。

ちなみにあのウォルマートでオリジナルブランドが販売されていたりもするが、アウトレット店舗らしい店舗は見当たらなかった。

 

Bergdorf Goodman (バーグドーフ グッドマン)

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創業:1899年、ニューヨーク

店舗数:2 (2019年)

備考:NYに2店舗だけ存在しており、Neiman Marcus Group Inc.の傘下。超高級百貨店として知られ、もはや伊勢丹に似ている似てないとかそういったレベルですらない。フロアは一般的な百貨店より大分狭く、限られた一定の空間の中に高級品が凝縮されているイメージ。客層も見るからに富裕層と思しき諸兄姉ばかり。その店舗数と性質上によるものか、アウトレット店舗は見つけられなかった。

 

 

 

というところで、筆者が立地的にアクセス/認知できた範囲でいっても、これだけの種類・展開数が存在していた。

くどいようだが、これらのアウトレット店舗では年中セール価格で商品が捌かれている。店舗あたりの敷地面積もさすがアメリカサイズであるし、たいがいネットショップも完備している。そして言うまでもないが、これ以外にも米国にはまだまだ百貨店が有り、それに紐づくアウトレット店舗も同じようにあるだろう。

 

 

この状況は、例えるなら伊勢丹や阪急が

伊勢丹格安販売

阪急舞台裏

とかいった類の店舗を都内に建設し、公然と割引商品を捌いているようなものだろうか。

無論、日本でもファミリーセールが行われたりすることはあるが、それは概して『ひっそり』かつ『限定的に』行われるのが普通であって、捌かれる物量を考えれば比較にすらならない。

商売のスタイルが国や地域によって異なる事は想像に難くはないが、ともあれ同じ百貨店ですらここまで違うのは、なかなか興味深いものである。