筆者の務めるミシガンの事務所は、ごくごく小規模とはいえ毎日何かしら郵便物が届く。別に当番として決められているわけではないのだが、筆者は事務所にくる郵便物を毎日チェックしている。その内訳は、1割弱が従業員の保険関係の書類とか、本社からのお達しとか、あとは定期購読の業界ニュースなど。そしてそれ以外の9割超は、いわゆる広告類である。
で、この広告というのが日本とは多少異なる形式なのがなかなかに面白い。個人宅宛にくるかなり特徴的なダイレクトメールについては以前の記事で触れたが、今度は事務所つまり会社宛に来たものについて二、三垂れ流してみたい。
よく見る広告
・ワードやエクセルを効果的に使うには?応募してね!
・マネージャーに求められるスキルとは?応募してね!
・ビジネス・オフィス用の高速WIFIは要りませんか?入会してね!
・近所に新しくレストランをオープンしました!来店してね!
・近所の家具店です!20%クーポンがついてます!来店してね!
・車の保険について考え直しませんか?来店してね!
この手の広告はよく郵便受けに入っている。日本でもありそうな広告で、その多くはひと目見て広告とわかるものばかりである。だがやはり米国らしいと言うか、色々と趣向を凝らしている物も見られる。
例えば、
・宛名の書体をわざわざ手書き風にして、大切な書類感を醸し出しているもの
・”Final Notification"とか”Important Document - Do not Discard"とか”Open Immediately"とかいった刺激的な文字をちらつかせて、大事な書類感を醸し出しているもの
といった類のものである。前回のダイレクトメール事情の話でも述べたが、まずは『封筒を開けさせる』ことを主眼に置いているのだろう。ただこの辺は不思議なもので、眺めているうちに広告なのかそうでないのか何となくわかるようになってくる。経験上、本当に重要な告知(例えば裁判所からのものなど)ほど、Open Immediatelyとは書いていないのだ。
ちょっと特徴的な広告
感覚では大体ひと月かふた月に1回くらいの頻度と思うが、下記のような広告が来ることがある。
表面には”an offer like no other is inside!”、つまり『他に類を見ないようなオファーが入ってるぞ』と米国調の強気な宣伝文句が印刷されており、中に色々クーポンが入っているというものである。単にそれだけなら日本でもありそうなものだが、特徴的だと思うのはその物量である。
今回はみっちり50枚詰め込まれていた。
物量が物量なら内容も内容で、飲食店や衣料品店のクーポン、歯科医の新規顧客勧誘、リフォーム業者、インターネット回線の販促、ホームセキュリティのご案内と幅広い。あとは税金の仕組みがややこしい米国ならではかもしれないが、税金納付の代行らしきものもあった。イメージとしては日本の新聞折り込みチラシに近いのかな、とも思わないでもないが、さすがにOak Treeの伐採代行クーポンはちょっと珍しいのではないか。
それともう一点米国らしいと言えるのは、封筒の内側である。
クーポンが詰め込まれていたかと思ったら、それ以上に条件やら免責事項やらが詰め込まれているのである。封筒の下の方までびっちり印刷されているので、最終的には封筒を解体しないと読めない。というか、恐らく最初から読ませる気が無いのではないか。
そう考えると、”an offer like no other is inside!”という謳い文句も強ち過言ではないかもしれない。確かに他に類を見ないようなものが色々詰め込まれているとは思う。
余談
この封筒の裏面、史上最速のハリネズミとして名高い”ソニック・ザ・ヘッジホッグ”氏が出演していた。
出演している事それ自体はいいのだが、1点気になるのはこの氏の横にある”DASH FOR CASH”とかいう標語である。もちろんこんなものはただのキャッチコピーなのでどうこう言う方が無粋という物だろうが、どうも調べたところソニック氏はあれで15歳という設定らしい。弱冠15歳にして現金に向かってダッシュとは何ともはや、なかなか資本主義に忠実なハリネズミ様とでも形容しようか。