中国の武漢に端を発し、爆発的な広がりを見せる新型コロナウィルスに対し、ついに米国でも3月13日に緊急事態宣言が発出された。
ほどなくしてミシガン州内のレストランやバー、ジム等の施設が全て閉鎖し、多くのオフィスワーカーは在宅勤務ベースにシフト。筆者も先週から在宅勤務である。
更なる感染拡大を受け、3月23日には筆者の住むミシガンの州政府からも自宅待機命令(Stay home, Stay safe Executive order)が発出されている。
これは外出全面禁止というわけではなく、不要不急の外出を控えるべしというもので、生活に必要な最低限の外出まで制限するものでは無い。ただし少なくとも4月13日まで継続される見通しである。また、外出時はSocial distance (6フィート≒約1.8メートル) を保つようにと通達している。
以上が現在のミシガンの状況であるが、これだけ書くとなかなかに物々しい気がする。というか、字面だけ見ると街がゴーストタウンと化していそうな雰囲気すら漂う。
実際のところはどうかというと、生活のためには食料が必要であるから、スーパー等はやや営業時間を短縮して営業しているし、街に人の姿もある。
また筆者の住宅近くの緑地帯には、早朝からランナーの姿もまだ少しある。
筆者も筆者で、ビーフシチューの具材が玉ねぎだけになってしまう非常事態を回避するため、近場のスーパーであるWhole Foods(ホールフーズ)へと赴いた。
併設された駐車場。
この時間帯は普通ほとんど満車になるのだが、さすがに状況が状況のためやや空きが見える。
中の状況も少し変わっている。
レジ前には見たことの無いテープが貼られていた。
これは何かというと、
州政府が発出した、6フィートのSocial distance維持を奨励するためのホールフーズ側の施策のようである。
更に店員と客の間にはアクリル板が設置 (効果の有無は筆者にはわからないが) され、普段は中央に設置してあったクレジットカードの読み取り機も、右端に移動されていた。客と従業員とにもSocial distanceを保つ努力という事らしい。
州政府からの発令が本日であったことを踏まえると、相当早い対応に思える。ホールフーズはいわゆる高級スーパーとして知られるため、そのあたりには敏感なのかもしれない。
会計中、「ははあ。色々とレジまわりが変わりましたな。」とレジ係に話を振ったのだが、
「そりゃあもういろいろ変わるわよでもねこんな状況でも結局生活のために買い出しにはいかなくちゃいけないしなんかあったらすぐ病院にもいかなきゃいけないしこの状況はあんまり長く続くようじゃあシステム自体が成立しなくなってくるだろうしとにかくこの状況が、あこれ破けるから底の方持つようにしてね、良い日を!」
と言われて渡されたレジ袋も、普段と少し変わっていた。
なぜ持ち手やロゴがなくなったのかはわからないが、ひょっとすると先週か先々週頃に客が殺到して従来のレジ袋の供給が間に合わなくなったのかもしれない。ホールフーズはレジ袋のビニール廃止を公言しているため、こういう対応になったのであろうか。何にせよ、スーパー側の対応はかなり大変そうである。
とはいえ筆者としては、レジ袋がどうこう言うつもりはない。何せ本日筆者に必要だったのは紙袋ではなく、ビーフシチューの具材である。
特に筆者にとってはこの牛肉が最も大事なわけで、逆に言うとこれさえ手に入れば
今晩は肉抜きのそばめしにした。