モノ魔リスト

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必要ではない。だがよく考えてみると、たしかに必要ではないようだが愛すべきモノたち。

海外駐在経験が転職活動に効くであろう理由

 

先日の記事にて

「弊社駐在員の大多数は英語が理解できていない」

TOEICを受けてみると、揃ってみすぼらしい点数を叩き出す」

という事実に触れ、

「中にはできている人もいたが、全員転職してしまった」

という文言を垂れ流した。

 

会社としては結構由々しき事態と感じなくもない。何せここにまた一人、転職をする元駐在員が増えたのだから。

 

 

実際に転職活動を開始したのは7月の終盤からだったが、結局おおよそ2カ月で外資大手からの内定を得るに至った。実際に応募したのは4社(すべて外資)で、1つは景気動向注視による採用フリーズ、残る2社はいずれも最終面接時(選考要素は殆ど無し)を辞退したため、実質的にお見送りをされたケースはなかったとの判断もできる。最終的にサインした書面には現職に比べ、200万円に迫る待遇の向上が記載されていた。これが中国は武漢に端を発したコロナウィルスにかき乱された情勢の中での転職活動であったと考えれば、それなりに上々の転職活動だったのでは、と振り返っている。

 

来週には現職へ退職の連絡を入れる予定であり、恐らくはそこでひと悶着あるとは思うが、次の会社への初出社日は1月頭と余裕を取っているため、大方はどうにかなるだろうと予想している。

 

しかし振り返って考えるに、やはり駐在経験は転職において有利に働くという事は間違いなさそうである。というのも、単純に書類・面接の通過率が上がるのである。転職が書類応募→面接というプロセスを踏む以上は、この通過率を上げる事は内定に直結するだろう、ということだ。

 

 

書類通過率が高くなる

書類審査で重視されるポイントは色々あるだろうが、新卒の場合は大学名・大学院名が重視される傾向が根強い。となると中途採用の場合は、これが現職の企業名になるわけだが、新卒と異なり職歴書を作成する必要がある。これは新卒時に提出する自己PRなどに比べると割と細かく書く必要があり、その経験が稀有で目を引くほど、つまり差別化できているほどプラスに働くわけである。昨今、海外勤務経験のある社会人など珍しくもないと思えるが、それでも就労人口全体に比べれば1%に満たないわけで、絶対数として単純に少ないのである。

転職において、平均的な書類通過率は10%~50%だという。何が”平均”だ、随分と幅があるじゃないか、と感じなくもないが、エージェントによっていう事が違うので仕方がない。ただ筆者の場合、結果だけを見れば外資4社に応募してすべて通過しているわけであり、これは全体から見れば恐らく高い方だ。

 

面接通過率が高くなる

面接は正直、得手不得手が如実に出るプロセスと思うが、新卒・中途を問わず、就職において避けては通れない。筆者は幸いにしてそれほど苦手ではないが、どうしても苦手という御仁もおられるのも事実だろう。ただ、基本的に話す内容と言うのは現職の経験についてが大半なわけである。よって面接と言うプロセスの得手不得手を抜きにしても、話せるネタが多いというのは単純に強い。時たま来るトリッキーな質問も、海外勤務中のトリッキーな経験に比べれば物の数ではないということだ。特に筆者の場合、自分以外は全員ローカルのメンバーであり、訪問していたお客さんもゴリゴリの現地企業で尚且つ新規であったことから、とにかくネタには事欠かなかった。それも虚飾ではなくすべて実際に起こった生々しいイベントであるから、それをいくら深堀りされようが大した問題ではない。

加えて、海外勤務中は日本にいた時よりも権限が大きくなる。日本で勤務していた時よりも環境が整っていない場合も多く、その場合は自分でやる事の幅も(否応なく)広がる。また社長や役員等のクラスの高い役職と如実に距離が近くなった。例えば日本であれば、役員や社長から直電が来ることなど滅多にないが、海外子会社にいるとそういうわけにもいかなくなる。

また、外資系企業の場合は2時面接あたりで海外のFunction Managerあたりとの英語面接があることがしばしばである。もちろん企業にもよるが2時間近い面接になることもあり、当然ここでは一定のレベルの語学力が求められ、それが無ければ全うすることは難しい。面接官が英語圏出身とは限らず、その点でも幅が求められるのである。プレゼンを求められる場合もよくあり、その場で質問に対応する柔軟性も求められるため、中途半端な語学力だと現実的には厳しい。

英語ができたとしても仕事ができることに直結はしないが、

英語ができない=そもそも業務が遂行できない となるケースは現実ではよくある。中途の面接ではそこを見て、採用する価値があるかどうかを判断しているのだろう。

 

 

実際にはもっと多くの側面で海外駐在経験が転職に有利に働くのかもしれないが、筆者が1回目の転職で感じたメリットはこういったところであった。いずれ2回目、3回目の転職で新たに見えてくるところもあるだろうが、それはまたその時に振り返る事ができれば本望である。