モノ魔リスト

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必要ではない。だがよく考えてみると、たしかに必要ではないようだが愛すべきモノたち。

【MEGA MALL】あの全米14位のGDPを誇るミシガンはランシングに鎮座せし最大のモール

この記事も5分では読めません。

 

 

こと「全米」と聞くと、脊髄反射のごとく『震撼』とか『泣いた』とか『ナンバーワン』とかのワードを後ろにつけたくなるのは陰険な筆者に限った話であろうが、そんな全米において堂々14番目のGDP(2018年名目GDP)を誇るのが、かのMI、すなわちMichigan(ミシガン)州である。

 

 

このミシガン州、そのGDPもさることながら人口で見ても10番目(2015年)、面積で見たならば11番目、更に州都はあのLansingである。

かような情報を踏まえたならば、このミシガンが全米においても1,2を争うほどに重要な立ち位置にあると断言して然るべきと言うのも、強ち過言かもしれない。

 

 

 

 

そしてかのLansingに聳え立つのが、ひょっとすると泣く子も黙るのではないか噂される程に大きいとされる「MEGA MALL」である。

www.michigan.org

 

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かのLansingの中心地から見て、車でおよそ10分ほどの距離にある。

 

 

 

この手のアンティークモールというのは、何の前置きもなく道の脇に出現するものだと言及したのが記憶に新しい気もするが、それはミシガン最大規模実しやかに噂されるこのMEGA MALLであってもその例に漏れないようだ。

 

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一本道を走っていると、この風情のある看板が突如道の湧きに現れるのである。

 

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敷地が広すぎて収まっていないが、ひとまず最大と噂されるだけあって大きいのは間違いないと言えるだろう。

 

 

 

 

 

ところでこのMEGA MALLであるが、てっきりどこぞのアウトレットモールのようにLargestと銘打っているかと思いきや、実際に看板を眺めてみたならば、その慎み深さに誰もが心打たれてしまう事請け合いである。

 

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そう。

 

『Largest Antique Mall』ではなく、『Most Unique Shopping』なのである。

 

 

明らかに広い敷地を保持しながらも、しかしその物理的な敷地の広さを誇示するでもない。

そして「アンティーク」の名を敢えて外し、自らをその埒外に置いている。

 

 

14番目のGDPを誇るミシガンにおいては、アンティーク戦争ひとつとってもまさに血で血を洗うような、激烈にして苛烈な争いとなる。

それに対し、勇気の一歩後退を演じているこのMEGA MALLは、やはりミシガンにおいても数段次元の違う存在であると言っても過言かもしれない。

 

 

 

 

さてそんなMEGA MALLではあるが、実際にその規模というのはやはり大きい。

 先日個人的な意見を垂れ流したKnights Bridge Antique Mallに比しても、目測で2倍以上の敷地面積を誇っているのではないか、と筆者は愚考する。

 

ナイツブリッジアンティークモールがそうであったように、このメガモールにおいてもブース分けが為されているようだ。

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やはり他のモールと似てそれぞれブースに分けられているようだが、全体の敷地が大きいだけあってかなりの数である。

 

 

このブース分けであるが、どうやらこのメガモールでは 

様々なディーラーが、それぞれが自分のブースに商品を陳列して商売する

という様式のようである。

 

 

 

 

従って、ブースによってかなり商品の傾向が違ってくる。

 

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ブース単位でセールを行っているところも散見される。

 

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アメリカンなバーには必需品でありそうなグッズを揃えているブースもある。

 

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気づけば自ずと背後にある、古書コーナー。

 

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ディーラーによっては結構きちきちに陳列するようで、割合死角が多い。突然別のお客さんが背後に現れたりと、ちょっとしたアトラクション…とまでは言わないが。

 

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奥の方に行くと、ブースの途切れ目がよくわからない場所も出てくる。

 

 

 

加えて、『Antique』と銘打っていないだけあって、別にAntiqueらしい品物でなければ絶対いけないというわけでもないようである。

 

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例えばこちらのディーラーは、『CoolなStuff』なら何でも買い取る余地があると豪語しているようだ。

 

 

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こちらなどは、割合新しい絵に見える。どちらかというと、少女の仄暗い視線の方が気になってしまうが。

 

 

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こちらなどは、明らかにアンティークとは言えない陳列物だろう。しかし普通に取り扱えている以上、お店側として特に問題はないようだ。

 

 

 

なお、店内が広いだけあって一部のブースは空きがあるようである。

 

 

当然それぞれ賃料が発生するようだが、

 

全米で14番目のGDPを誇るミシガンの中心たるランシングにて、アメリカンドリームをこそその手に掌握されたい諸兄姉

 

は是非とも検討してはいかがであろうか。

 

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ディーラーによっては、「うちはここで5年商売を続けている」といった類の張り紙をつけているブースもある。このメガモールで商売を続けるのは、それだけで歴戦の猛者たる証となるのかもしれない。(ブース名のみ編集で削除)

 

 

 

あまりに広いので、全てを紹介することは甲斐性皆無の筆者には到底不可能だが、このメガモールの傾向として以下の点を挙げておきたい。

 

・圧倒的な敷地面積

・アンティーク以外も手広く扱う

・時間を潤沢に使ってユニークな一点ものを探し出したい諸兄姉向け

・逆にこの手の物品をピンポイントで探している諸兄姉からすると、訪問優先度は低め

 

 

 

ちなみに商品ではないが、このメガモールのRestroomにあるハンドドライヤーは一見の価値がある。

MOTTAINAI精神は日本独特であるとの説を小耳に挟みかけたことがあるが、これを見たならばどっこい、米国にもまた同種の精神が根ざしているではないか、と首肯する事請け合いである。その手法こそ異なるかもしれないが、その姿勢に一種の賞賛を禁じ得ないというのが、他でもないこの筆者d

 

 

 

 

 

ちなみにランシングに足を運んだならば、カフェイン補給にこちらも一つ、と試さずにはいられないのがこちらのカフェであると言っては過言だろうか。

 

 

比較的風情のある街並みの中に、突如として1軒だけ真新しく小綺麗なビルが現れたなら、それがそこに現れたという事である。

 

strangemattercoffee.com

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店員に訊くと、「もともと向かいにあった店舗を、2年ほど前にこちらに移転した」とのことである。道理で明らかにFancyなわけである。

 

 

中へ入ると、どこにそんなに隠れていたのだと驚嘆するほどに、いかにもお洒落な若者で溢れ返っているのだから驚きである。

そこだけお洒落偏差値の箍が外れているかのように感じられるほどだ。

 

 

 

 

ちなみに店舗のお洒落さにも驚いたが、そのサイズのお洒落さにも意表を突かれた。

 

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どの家庭にもあるアポログラインダーとパトリモニーで比較するに、このサイズはお洒落だと言わざるを得ない。

 やはり気になるところは一度は試してみるものだ、と愚考せずにはいらない筆者である。

 

 

Raretsu

 

【Knights Bridge Antique Mall】ミシガンでその身に刻むは、素晴らしいゴチャゴチャ感

この記事も5分では読めません。

 

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米国はミシガンへ赴任してからというもの、観光地も含めて種々の地へ赴く機会があった。

 

 

日本に生まれた日本の筆者(参考URLが、その過程で様々な違いを感じた事は想像に難くない。

わけても電流が走ったこととして、アンティークモールがやたらと点在していることが挙げられる。

 

 

 

今日の日本においては、意識的に探しでもしない限り、アンティークモールなどそうそうお目にかかれるものではない、と思う。

 

 

ところがこのミシガンでは、車を転して行く先々で

 

『〇〇 ANTIQUE MALL』

 

といった類の看板が、それなりの頻度で車道の脇に出現するのである。

 

しかも出現の傾向というのが (少なくとも日本に生まれた日本の筆者には) 皆目もって見当がつかなかったりする。

街はずれだろうが観光地だろうが、何の断りもなく突如出現するのである。

 

 

 

そもそもこのような案内用のHPがある時点で、既に米国ではアンティーク市場が大規模に形成されているのかもしれない。

 

www.antiquemalls.com

 

 

 

過去にも垂れ流したが、筆者はものぐさのくせにややこしいものが大好きである。

アンティークというのは筆者からすると『何か古くてややこしいもの』なので、その図式からすると当然好物の類に仕分けされるわけである。

 

 

 

 

 

 

そして本日、小峠をわずかに攻めていた稀代の薄さを誇るペーパードライバーたる筆者の前に、突如舞い降りたANTIQUE MALLがこちらである。

 

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Knightsbridge Antique Mall

 

 

 

 米国の建物(特にミシガン)にはよくある事だが、建物の多くが1階建てかそれに相当する高さしかない。そしてその代わり、やたらと敷地面積が大きい。

 

このアンティークモールもその例に漏れず、1階建てにして結構な広さを誇っているようだ。

 

見た目から想像するよりも横幅、奥行きともにかなり広く、その中にアンティークな品々が所狭しと、というよりごちゃごちゃ並べられている。

 

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高さはなく1階建てだが、かなり広さがある。

 

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廊下のようなものが何本か通っており、そこの両脇に商品が並んでいる形式のようだ。

 

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上とはまた別の廊下。

 

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廊下には商品を出さない決まりになっているのだろうか。

 

 

 

かなり広いので筆者の乏しい写真スキルではとても納めきれないが、とにかくアンティークらしい品物がこれでもかというほど、ごちゃごちゃと敷き詰められている。

 

 

 

ところで小規模なアンティークモールなどだと、

 

家具ゾーン

銀食器ゾーン

コップゾーン

置時計ゾーン

コインゾーン…

 

といった形で、ある程度まとまってレイアウトされている場合がある。

 

ところがこのモールは、写真からお分かりいただけるかもしれないが、並び順に殆ど秩序がない。

 

 

例えば入口に時計がまとまっておいてあるかと思うと、

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かなり大きめの時計類である。値段は物によって異なるものの、大体$600~$1000くらいのようだ。

 

その左手には何やら空き瓶の類が陳列されており、

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この手の物品は、日本に生まれた日本の筆者にはどうにも価値を理解するのがなかなか難しい。

 

その向かいには時計だか食器だかが並び、

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よく見ると、時計も食器も古本もある。

 

もう少し奥に行くと、また食器やら何か掛けるものがあり、

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もはや「小物ゾーン」とでも形容した方が良かろうか。

 

そこから振り返るとまた時計の類が置かれていたりする。

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時計の吊るし方が、何やら投げやりに感じられてこそばゆい。

 

 

以上のような形で、とりあえず陳列の方法に規則性はなさそうと判断するわけである。

 

 

とはいえアンティークモールの性質自体、

『一期一会』

『宝物探し』

といった性質で成り立っている気もするわけであって、これはこれで良いのかもしれない。

むしろ、時間を忘れて探してもらうための店側の試みなのかもしれない、と愚考してみる。

 

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アンティークモールには、何故か必ずと言っていいほど年代物のゴルフクラブが置いてある気がする。

 

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ここだけ色合いがラスベガスである。ちなみにスロットマシンも$500ほどで売っていた。

 

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年代物と思しきコインの類も、様々な場所に陳列されていた。やはり陳列に統一性はない。

 

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教養のない筆者には価値がわからなかったが、絵画の類も一部おいてあった。

 

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破れているがれっきとした売り物である。破れていても$50らしい。

 

 

 

また、恰幅の良いカウボーイ風の壮年男性スタッフから聞いたところによれば、『スタッフそれぞれ持ち場が決まっており、そこの陳列を各々行う』だということらしい。

 

 

値付けもその担当者の裁量で決められるものらしく、たまたまその壮年男性の持ち場だったらしい下記のジオラマを眺めていたところ、

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これはアンティークなのか?と尋ねたところ、どうやら1976年製だということらしい。こうなるとアンティークの定義がよくわからなくなってくるが、細かいところは気にしないというのは実に米国らしい。

「$100へ値を下げる故、是が非でも購入を検討してはくれまいか。何せ見ての通り我が持ち場は手狭、これを諸弁せねばと常々考えておるのだ」

 

との交渉を持ち掛けられた。

筆者は丁重にお断りしたが、$295が$100になるとなれば恐らくお買い得なのではないだろうか。ちなみに何の建物なのかは不明らしい。

 

 

 

また、これに限らず値切り交渉は歓迎だということだったので、それぞれの持ち場の担当者を探し当てれば、お得に手に入れることもできるかもしれない。

 

 

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オーストリッチスキンと思しき鞄。担当によってタグの書き方も違うようで、写真のように目いっぱいに書く人もいれば、殆ど書かない人もいる。ただ共通しているのは、いずれもかなり難読であることだろうか。

 

 

 

 

 

ところでここは米国であるからして、陰険なる筆者は密かにこれを探していたりする。

 

www.roger-russell.com

 

日本でもミステリークロックの代表格として、極一部大変知名度のある代物である。

 

かつて米国で出回った普及品のはずだったので、それなりに数が残っているはずだ…と筆者特有の憶測が止まらなかったのだが、

 

 

 

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なんと同じ店内に3つも存在した。

 

しかも先刻の壮年男性の言を反映してか、いずれも担当が違うようで、全く違う場所に陳列されていた。

 

 

加えて言うと、値つけは掲載順に

$35

$150

$185

であった。

 

一番上の品は電源が壊れているために破格だったようだが、他の2つはあまり状態に差は見られなかった。

内部点検の結果等で$35の開きがあるのかもしれないが、どちらかというと陳列者の裁量違いによるものなのではないか、とも憶測した次第である。

 

稀に見るほど薄給の筆者としては、$150であってもやや高めではなかろうか、と判断したため今回は見送ったが、交渉手腕に自信のある諸兄姉、あるいは稀に見るほどに富める諸兄姉があれば、在庫のあるうちに挑戦してはいかがであろうか。

 

 

 

系統別・種類別に陳列されていることは当然のこと、としてお店を捉えている場合が多いであろう現代においては、このような大雑把な陳列と言うのは逆に新鮮であったりもするものだ。

 

特に筆者のようにややこしいものが好きな面倒な愚昧においては、その探すのにやたらと手間のかかる感じこそ、なかなかどうして小気味よく感じられる。

 

 

 

そう言えば過去に、日本のとある店が新業態で出店する際、

 

それはそれは、

素晴らしい

ゴチャゴチャ感。

 

といったキャッチコピーで売り出していたような気もするが、このKnightsbridge Antique Mallこそまさしくそれではないか、と愚考しながら後にした次第である。

 

 

 

ともあれ宝探しの旅人に対する下記のような心遣いもあるようだし、近くに立ち寄られた諸兄姉におかれては、一度覗いてみてはいかがであろうか。

 

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アンティーク探検家のため、無料の燃料提供をしているようだ。

 

Raretsu

 

【CHAMBORD SELLIER LILLE】妖艶な曲線美×エスプリを併せ持つものぐさ向け多用途革鞄

 

 

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何か高価な買い物をする際、『良いものを長く使えばよいではないか』という理論の元、購入への後押しとする方がおられるのではないかと憶測する。この信条はしばしば『安いものを頻繁に買い替えれば良い』という信条と争いを始めることがあるが、実際どちらが良いかは即断できないところがある。何事につけ、大量生産の手法が洗練されている今日においては後者に軍配が上がる場合も散見されるが、最終的な選択は個人の裁量に任されるところであって、この愚昧なる筆者に関して言えば前者の思考に完全に寄生されているといってもいい。

 

 

 

とは言いつつも、実際の経済状況は裕福とは対極の位置にある筆者であるから、高額と思える物品の購入の際には『長く使えそう』であることに加えて、このところはやれ『使い勝手良さそう』だの『他人と被らなさそう』だのと、他のの特徴までも考慮するきらいが強まってきた。高い金額を払っているんだから加価値をよこせ、という短絡的な消費者心理に支配されているのがありありとわかる。

 

そんな七面倒な条件を小脇に抱えて物品を検討するのは、文字通り面倒ではあるものの、その反面結構面白かったりする。

恐らく最も面倒なのは条件ではなく、選んでいる筆者という人間自身なのだろう。面倒くさい物品を好む面倒くさい人間とは何ともお似合いな気もする。

 

 

 

 

さて、そんな面倒にして陰険な筆者であるが、ここ2ほどとある1つの鞄をやけに重用している。重用というより乱用に近いか、何せ仕事だろうがプライベートだろうが、あるいは日本にいようが米国にいようがおかまいなしにヘビーローテーションなんである。

その鞄というのは、CHAMBORD SELLER(シャンボールセリエ)ブリーフケース、LILLE(リール)である。

 

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2年以上使用しているためにややくたびれているが、実用上支障はない。

 

 

こちらのシャンボールセリエだが、HERMESやらCARTIERなどに代表される、所謂高名なハイブランドの鞄ではまったくない。というよりどう贔屓目に見ても知名度は低く、ともすれば一般知名度は皆無と言ってすらいいだろう。その割にフランスのエスプリ価格を当然のように要求してくるので、ややこしいといえばややこしいメーカーである。

一般的にはほどんど知名度のない(と思われる)同社がこの価格を設定してくるのは、誰が言ったかあのHERMESやらCARTIERやらフランスが誇る高名なメゾンの生産も手掛けてきたとかいう触れ込み込みの策定結果なのかもしれない。

 

 

 

さてこのリールであるが、一見すればわかる通り装飾も少なく、極めてシンプルなデザインであるといえよう。シンプルがゆえに、カチッとしたスーツからある程度ラフな格好まで、割と広範囲に対応できる。

一方で、全体的に曲線が占める比率が多いように思える。更にそのやや長めな持ち手も相まってか、どことなくユニセックスなデザインにも見える。

 

もちろんれっきとしたメンズ向けの鞄であるため、売り場は男性用鞄の一角になることが多いだろう。つまり、角がピシっとしたかっちりしたデザインの多いメンズ鞄の中にあって、くたっとした鞄がちょこんと鎮座し、しかもそれがシンプルさに反比例した値段を誇るような様相になる。この様子というのが何やら、ちょっと『気の抜けた』ような、あるいは『ちょっとふざけている』ような感覚を生まないでもない。(ちなみにデザインの立ち位置としてはCiseiも似たようなところにいるのでは、と憶測する。)

 

 

 

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この手のデザインを筆者流に曲解すると『一見シンプルだけど、何やらちょっとややこしそう』なデザインであり、それが実に小気味よいと感じたものだ。へそで茶を沸かしたくなるような理屈だが、ややこしい人種からすると、ある種のややこしさは美徳に近いとすら言って良いのである。

つまるところ筆者からすればこの鞄のフォルムは『素晴らしく』洗練されている』類のものであるといって相違ない。

 

 

 

 

そんなややこしいシャンボールセリエであるが、既にいくつかのバリエーションで鞄を展開しており、こちらはLILLE(リール)と呼ばれるものである。外装カラーはネイビーだが、他にブラックと、ブラウンもあるそうである。

ネイビーをこよなく愛す(と言えば聞こえはいいが、単に固執しているだけである)偏屈な筆者としては、このカラーこそまさしく天啓だと勘違いしたものだ。

  

 

 

ちなみに同社は外装にいくつかの皮革を使用しており、これはLAGUNと呼ばれるシボ革を使用している。他にはCALPEと呼称される型押し革もあるようである。(なおこちらによると、それ以外のバリエーションもあったりするようだ。)

 

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LILLEのLAGUN(ネイビー)の表面。しっかりとしたシボ感が出ている。

 

さて、シボやら型押しやらと言及すると、それを耳にした時にどうしても気になってくるのがそれぞれの皮革がどこのタンナーの物なのか、という疑問であろう。

 

浅学なる筆者は、購入検討時にその見た目と感触等から何となく下記のようではないかと憶測を立てている。

 

CALPE→フランスのHAAS社のEPSOM(エプソン)?

LAGUN→フランスのRemy Carriat社のTAURILLON LAGUN(トリヨン・ラグーン)?

 

 

EPSOMはHERMESの展開でいうところのVeau Epsom(ヴォー・エプソン)で、TAURILLON LAGUNTaurillon Clemence(トリヨン・クレマンス)だと言われている背景がある。

このシャンボールセリエが、本当にかつてHERMES社の生産を手掛けていたとするならば、それらの会社と同じ皮革を用いていたとしても特におかしな点はないだろう、と更に憶測を重ねている次第である。とはいえ所詮は憶測であるので、別にあっていようが間違っていようが、大した問題にはならないのも確かではある。

 

ちなみにどちらの皮革にも通用する事項として、単純に高価というだけでなく

・シュリンクあるいは型押しのため、傷が目立ちにくい

・水にも強い

という点が挙げられる。このあたりは実用性を高めるにあたりかなり有用であることは述べておくべきだろう。

多少のひっかき傷であればまず目立たないし、多少濡れた程度ではシミにもなることもない。ヌメ革やブライドルレザーの鞄などに比べると、かなりストレスフリーである。

 

 

ちなみに金具にはシルバーゴールドのバリエーションがあるようだが、調べた限りではシルバーの方が入荷数が多いようだ。そもそもゴールドは生産数が少ないようで、筆者が探した限り(約2年前)では、有楽町ESTNATIONにCALPE×ゴールド金具のLILLEが数点在庫として残っているのみであった。

 

ちなみにゴールドは、その色合いが結構はっきりしたYG(イエローゴールド)なので、例えば仕事で使う場合には、職種によってはやや目立つ可能性もあると感じた。

これがITADAKIの財布に使われているようなピンクゴールドであったならば、もう少し印象が違ったかもしれないが。ともあれ入手性の困難さと色合いを併せ考えて、シルバー金具のLILLEを選択した経緯がある。

 

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金具にはCHAMBORD SELLIERと刻印されている。他のラグジュアリーブランドでも見られるように、サプライヤーの刻印は消しているようだ。

 

 

 

ちなみに内装はいずれのモデルでも外装と同色の布地のようである。内装の素材は人によって好みが分かれるだろうが、この手の鞄に関して言えば布地で正解だろう。

  

例えば筆者もかつて使用していた万双のダレスバッグなどは非常にしっかりとした造りで、内側は総革張り間仕切りもしっかり備えている。ある意味でシャンボールセリエとは真逆の鞄といえる。

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かつて筆者が所持していた、万双のダレスバッグ。色もネイビーで外観も大変好みだったのだが、内側も全て革張りなこともあってか重量はおよそ2kg。軟弱な筆者がほどなく手放してしまったのは記憶に残っている。

デザインも非常にクラシックで美しいのだが、外装の肉厚さと革張りの内装が相まって、かなりの重量級となってしまうのである。鞄それ単体で2㎏となると持ち歩くのも結構大変で、筆者の場合は泣く泣く手放す結果となってしまった。

 

その点、このリールは内装が薄手の布地であるために重量は実測でおよそ1kgである。

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普段使いとしては、これよりも重量が増えると厳しくなってくる感がある。

 

 

 

 

 

ともあれこのシャンボールセリエ、同じ形の場合は外装の素材違い、色違い、金具の色違いのバリエーションがあるということになる。ほうぼうを聞いてまわって得た感触からすると、生産時期によっても色々仕様が微妙に異なる場合もあるようだった。

すべての組み合わせが存在するのか、そして型番などで明確に指定されているのか、などは正直詳らかではなかった。このあたりの曖昧さにも何やらややこしさというか、エスプリを感じる。

同社のほかの鞄でも大体同じような傾向のようで、外装の色と素材、金具色でバリエーションが存在するのを確認している。LILLE以外についてはあまり調べていないが、たとえば一回り大きいブリーフケースのRivau(リヴォー)にはゴールド金具の仕様があるが、やはりその数は少ないようであり、また色合いも所謂YGであった。

 

 

 

 

 

上述しているように、デザインと価格、仕様において色々とややこしいリールであるが、見た目と同じくらいに印象的なのが、購入検討時に受けた説明として『実用性は度外した鞄』『見た目が全ての鞄で、そもそも物を入れるのは向いていない構造』というような内容を散見したことである。

少なくとも『沢山物を入れる方には向いていません』という観念はいずれの説明にも共通していたように記憶している。

 

 

 

 

当時、これらは恐らく下記の特徴から、合理的に判断されうる事実が反映された説明なのだろうと予測していた。それは以下の3点からなる。

 

鞄の中に間仕切りがない

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伊勢丹のベテラン販売員をして、「実用性は度外視された鞄」と言わしめた圧巻の内部構造である。

 

ポケットも内側に1つだけ

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ちなみに決して大きなポケットではない。

 

一応自立するが、外装がくたっとした素材で頼りない

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底部には5つの金具があり、一応それなりに安定して自立はする。ただし物を入れすぎると外装の柔らかさ故、ゆったりと倒壊する。

 

これらは確かに一般的に見ればマイナスポイントであり、機能性を重視した男性用鞄と比した際には尚更だろう。内側だけでなく外側にもいくつもポケットを配した商品が多い昨今、実用性を蔑ろにしていると判断されても致し方がないだろう。

 

 

 

 

ところがこの実用性を度外視したはずの鞄、それを2年間にもわたり、このずぼらな筆者が公私ともに乱用しているというのである。一体いかなることか。

 

これに対する答えというのはごく単純で、『ずぼらな人にこそ使いやすい』ということなのである。

 

 

 

ポケットや収納を効率よく取り込んだ、つまり機能性に富んだ鞄というのは、そもそもずぼらな人向けではないのではないか、という話である。まめな人であれば、『この書類はこの仕切りへ』『小物はこのポケットへ』『電子機器はこの収納へ』というのがある程度構築されており、鞄を選択する際にもそこがマッチするか判断をするのだろう。

 

ところがこれがずぼらな人種となると『適当に詰め込む』と、これで終わりなのではないか。少なくとも筆者の場合はそうで、だとすればせいぜいポケットを1つか2つ使えるかどうかが関の山であり、間仕切りがあったとしても宝の持ち腐れ以外の何物でもなく、ややもすると『この間仕切り邪魔だな』とすらなりうる。

鞄の製作者の心遣いを頭から踏みにじるような所業にも映るが、これは文字通りその通りなのだから致し方がないだろう。

 

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14インチのノートPCを放り込んだ図。横幅はそれなりにあり、まだ余裕がある状態。

 

 

またカチッとした男性用鞄が多い中、リールはくたっと(語弊を恐れず言うならばふにゃふにゃした)した鞄であるわけだが、これもずぼらな使用者には追い風となりうる。

というのも、乱雑に物を詰め込んだり、或いは妙な形のものを入れたとしても、ある程度対応できるのである。これは間仕切りのあるカチッと鞄にはできない芸当であろう。

 

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鞄の間仕切りと聞くと、筆者としてはどうしても想起してしまうのがこの図である。この場面ばかり切り取って繰り返し喧伝する姿勢は褒められたものではないだろうが、この鞄がセリエのRivauやLilleであったならばどうなったのであろうか。

出典:SankeiBiz

 

 

 

とはいえもちろん、詰めれば詰めた分だけその形に反映されるので、代償として取り柄であるデザインは台無しになる。

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角があるものを無理やり詰めるとこのようである。内装は薄めの布地で破れる恐れもあるので、この状態で長期間運ぶのはお勧めできない。それに、そもそもそういう用途と意図した鞄ではないとも思う。

 

 

 

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ともあれ愚にもつかぬ個人的な感想を長々と垂れ流してきたが、筆者が2年間の期間でこの鞄に持った結論を1文で表現するならば、

ずぼらな人向けの、やや肩の力が抜けた良デザインの、ちょっと高めなマイナー革鞄

である。

 

Raretsu

【Great Lakes Crossing Outlet】あの全米で14番目のGDPを誇る州における最大のアウトレット

 

こと「全米」と聞くと、脊髄反射のごとく『震撼』とか『泣いた』とか『ナンバーワン』とかのワードを後ろにつけたくなるのは陰険な筆者に限った話であろうが、そんな全米において堂々14番目のGDP(2018年名目GDP)を誇るのが、かのMI、すなわちMichigan(ミシガン)州である。

 

 

このミシガン州、そのGDPもさることながら人口で見ても10番目(2015年)、面積で見たならば11番目、更に州都はあのLansingである。

かような情報を踏まえたならば、このミシガンが全米においても1,2を争うほどに重要な立ち位置にあると断言して然るべきと言うのも、強ち過言かもしれない。

 

 

 

そんなミシガンにおいて最も大きな規模を誇るアウトレットが、このGreat Lakes Crossing Outletsである。

www.greatlakescrossingoutlets.com

 

 

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なお本当にミシガンで一番大きいのか否か、は今回調べていない。

 

 

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入ってすぐに念押しよろしく「Largest」とあるので、恐らく間違いないだろう。

 

 何しろ自ら”Largest”と銘打つだけあって規模はかなり大きく、およそ180のショップが軒を連ねている。ひとつひとつの敷地面積もかなり広いので、一回りするだけでも相当の時間を消費すること請け合いである。

 

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主要な店舗しか記入されていないが、このように1周ぐるりと回れるような構造となっている。

出典:Great Lakes Crossing Outlets

 

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アウトレット内には、このような概要図も一応存在する。ただ、1周回って構造を把握するのが一番わかりやすいかもしれない。

 

これだけ大きければ週末に家族連れで訪れるもよし(ちなみに映画館も併設されている)、或いはお土産を購入する予定がある際にも有用であると言える。

 

このグレートレイクスアウトレットのみならず、一般にアウトレットモールというのは「一回りするだけでも相当の時間を消費する」という特徴があるがゆえに、特定の状況においては計り知れぬ効力を発揮する施設でもある。

 

例えば、『日本からはるばる出張にやってきたさして仲良くもない出張者を、現地駐在員がそれとなくいい塩梅でもてなす』という極めてピーキーなシーンでは、その力を遺憾なく発揮する。何せお土産を購入するという行為は、人にもよるがそれ自体にそれなりに時間を要するからである。

このアウトレットが非常に広いことを併せ考えれば、その総合力は推して知るべしといったところであろう。

 

 

 

さてそんな有用な特性をはらんだGreat Lakes Crossing Outletsであるが、更にもう1つ優秀な点として『実際に安いものが結構ある』という事が挙げられる。

今日、日本のアウトレット情勢としては、『アウトレットにはアウトレット専売品がある』という認識が広がりつつあり、実際にそういった商品が散見される。

要するに、もともと安く売るために作られたものを、さも元値が高かったように見せかけて売りつける…といった手法が常態化している、という話である。とはいえこのあたりの話については、もっと刺激的かつ含蓄に富む記事がそこここに存在するのもまた自明というものであろうし、そちらへ譲るとする。

 

 

ともあれ、そこへ比して判断するに、このアウトレットは全体的にそれなりに安くなっているのでは、と感じる。30%~40%OFFはざらにあり、70%OFFなどもちらほら見かける。また店舗にもよるが、セール価格から更に一律20%OFF、といったタイムセールも散見する。他のアウトレット、或いは他の州の事情には明るくないが、どうも聞いた話では米国は割とこういった風向きが多いとのことである。(ただし現地に移って長い住人によれば、日本で言うところのアウトレット専売品の類の概念はやはり存在するらしい。賢い消費者たりえたい方は要注意であると言えるだろう。ちょっとわき道にそれるが、有名なBlack Fridayは相当数の専売品が捌かれると聞いた)

 

 

 以上の特徴から、普通にお得な買い物をするべく訪れるもよし、週末に家族連れで訪れるもよし、現地に来た記念のお土産購入でもよし、或いはやや面倒な人物の相手のために活用するもよし、と非常に懐の深いアウトレットと言えるのではないだろうか。さすがは全米で14番目のGDPを誇るミシガンにおける最大のアウトレット、その面目躍如というほかあるまい。

 

 

さてそんな懐の深いアウトレットではあるが、再三に渡って述べている通り非常に規模が大きく、およそ180ほどの店舗が軒を連ねている。これら一つ一つを回って見るというのもまた一興ではあるものの、実際に敢行すれば相当の時間を要すること請け合いである。

であれば、実際に訪問する前に気になる店舗はチェックしておき、ある程度的を絞りながら予算を確保しつつ、見て回るというのは常套策といえよう。

わけても財布の紐を自分以外の誰かに握られている方にとって、これは死活問題である。例えば実際に日本から訪れた出張者の面々を見ていても、ある程度目星をつけて訪れた人ほど、コストパフォーマンスに優れた物品を購入して帰国される印象である。

 

 

よって本記事では、日本でも知名度がある、或いは人気の有りそうな店舗を、極めて見識の狭い筆者の独断と偏見にて、30余ほど選んてみた。最もこれは陰険な筆者によるセレクトであり、かつ多くは店舗名の羅列となってしまっている。よって参考になる期待値こそLow Fat Milkのようだが、一部の店舗についてはいくらか具体的な数値も載せるように試みた。

情報としては2019年7月頃の話にはなるが、目算をつけるという意味で多少なり役立つことがあれば、この上ない至福である。

 

 

さて、およそ2000文字にもおよぶこの世に並び立つものも少ないであろうほど冗長な導入はこのあたりで終えることにして、先述した30余の店舗についていくらか記載していきたい。

ここでは便宜上、アパレル(靴含む)→鞄や時計→その他→番外 の項目順としている。またアメリカ発ブランドは他よりも値引きが大きめな傾向があるため、太青字としている。なお、項目内は完全に順不同である。

 

 

 

アパレル編(靴含む)

1. Brooks Brothers (ブルックス・ブラザーズ)

アメトラの代表格であり、米国を象徴する有名ブランド。値引きはやや辛め(20%オフやその前後くらいか)な印象を受けたが、元の設定が高いので購入額によっては値引き額は当然大きくなる。

 

2. POLO RALPH LOREN (ポロ・ラルフ・ローレン)

ブルックス・ブラザーズと同じく、アメトラで有名なRALPH LOREN、そのセカンドライン。セカンドと言いつつ本家よりも幅を利かせている感は否めないが。値引きについても同様。

 

3. J. Crew (ジェイ・クルー)

もうひとつのアメトラ代表格…と思いきやそっちではない。ただジェイ・クルーも米国ではかなりの店舗数を誇っている。

 

4. COACH (コーチ)

説明不要なほど有名であろう。突出して人気なようで、店内は大体混んでいる。40%オフや半額程度の値引きも見かけた。ただし専売品かどうかは区別がつかなかった。

 

5. BANANA REPUBLIC (バナナ・リパブリック)
6. TOMMY HILFIGER (トミー・フィルフィガー)
7. AMERICAN EAGLE OUTFITTERS (アメリカン・イーグルアウト・フィッターズ)
8. CALVIN KLEIN (カルバン・クライン)
9. Donna Karan New York, DKNY (ダナキャランニューヨーク)
10. UNDER ARMOR (アンダーアーマー)

いずれも米国の有名どころの衣料品ブランド。

 

11. Micheal Kors (マイケル・コース)
12. Kate Spade New York (ケイト・スペードニューヨーク)
13. Victoria's Secret (ヴィクトリアズ・シークレット)

同じくいずれも米国発で、女性に人気のあるであろうブランド群。2年ほど前にコーチに買収されたケイトスぺードとコーチとが同じ施設内にアウトレットを展開しているわけだが、ブランド戦略的に大丈夫なのだろうか。

 

14. HUGO BOSS (ヒューゴ・ボス)
15. PUMA (プーマ)

ドイツ勢。アメリカ勢に比べるとやや値引きは辛いと思われる。

 

16. COLE HAAN (コール・ハーン)
17. Johnston Murphy (ジョンストン・マーフィー)
18. Naturalizer (ナチュラライザー)

アメリカで有名な靴メーカー群。コールハーンはイタリア靴が存在したり、ナチュラライザーはそもそもリーガルの持ち物だったりと微妙にややこしいが、とりあえず米国発としている。

 

時計・アクセサリー・鞄編

19. SHINOLA (シャイノラ、シャイノーラ)

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SHINOLAはデトロイト発の時計メーカーである。なお、別ラインであるGOMELSKYは取り扱っていないようである。

以前も言及した通り、SHINOLAは新興のメーカーとしてはもともとの価格が大分強気であり、更に日本での入手となるとなおのこと高くつく。よってアウトレットでの購入は値引きがされていればかなりお得であるが、現状アウトレット価格で入手が可能なのは現状この店舗のみ(Webのアウトレットセールを除く)のようであるからして、ここの店舗の果たす役割は大きいといえるかもしれない。

値引き率はものによっては結構高く、下記のような例が存在した。

The Muldowneyシリーズ(レディース):$650→$300。

The Guardianシリーズ(レディース):$675→$300。

The Cassシリーズ(レディースのダイヤモンドセッティング):$2100→$1200。

その他レディース:大体$300~$350で販売。

多くのメンズクォーツモデル:$700のものは$550程度に、それよりやや高いものは$750程度。

The Runwell Automaticシリーズ(メンズ・レディース):定価のまま。値引きはしていないようだった。

 自動巻きモデルはあまり数も置いておらず、値引きも行われていないのであくまでクォーツ狙いで訪れるのが良いかもしれない。レディースについてはクォーツモデルなら半額以下で購入できるものも多い。額だけで言えば、The Cassのダイヤモンドセッティングモデルは$900という驚異的な値引きである。もっとも、SHINOLAを求める層がダイヤモンドのモデルを欲しがるかというと疑問が残る…などと邪推するのは陰険な筆者だけだろう。

敢えて付け加えるならば、陰険な筆者としてはむしろこの値引き後の価格こそSHINOLAの適正価格とするべきでは、と感じなくはない。

$300程度であればデザインウォッチとして購入するのも吝かではないだろう。モダンなデザインも小気味よいし、デトロイト発という希少性も感じられるならば有用な選択肢となりえるのではないか。と言うよりも、この価格で”高い”と思ってしまったならば、今後一切SHINOLAにかかわる必要はないかもしれない。

ちなみに重箱の隅をつつき倒すようだが、このアウトレット店舗の値札、いくつか不可解な値引きをされているものがある。例えばレディースのMuldowneyやGuardianなどは、上記の通りもともとの価格は大体$650くらいであり、そこから値引きされて$300くらいになっている。ところが値札を見てみると、$900→$300と書いてあったりする。恐らく値引き率を大きく見せてお得感を演出しているのだろうが、いささか安易に過ぎる感は否めない。どこの店も似たようなことはやっているとは思うが、時計の場合は割とわかりやすいため、陰険な筆者としてはやや気になった。

ともあれグレートレイクスアウトレットに訪れる際には、立ち寄ってみることをおすすめする。陰険で知られる筆者も、出張者が訪れた時には一応、一言紹介するようにしている。

 

20. MOVADO (モバード)

スイス発だが、現在はアメリカ資本の時計メーカー。某国の偉い人がつけていると噂になったりもする。かつては高い技術で知られたが、現在は安価なクォーツ時計がメインになっている。その安さが米国人にウケているのか、現地では結構多くの人が身に着けているのを見かける。

所謂ミュージアムウォッチのデザインは極めてシンプルだが、逆にここまでシンプルな時計も少ないためか、意外と目立つのである。

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ミュージアムウォッチ。この潔いデザインは存外に目立つものだ。

出典:MOVADO

 

ところでこのMOVADO、日本で買おうと思うと意外に高い。

例えばこちらで拝見すると、クォーツのミュージアムウォッチでも6, 7万円程度はするようだ。Chrono24で探してみても、$400~+送料と、クォーツとしてはやや高い。デザインと価格とを考えると、TICTACで取り扱いのあるDUFAのグロピウスツーハンド(3万円前後)等がかなり強力な対抗馬になりそうである。

ところがここのMOVADOアウトレット店舗では、ミュージアムのクォーツモデルが$229で陳列されていた。しかもその時はタイムセールで更に40%オフで、つまるとこそ日本円で2万円を大きく切る程度で購入可能ということだった(ただし、完全に同じモデルかどうかは不明)。いずれにせよデザインさえ気に入れば、かなりお得な買い物になるのではないかと考える。陰険な筆者ですら、帰任時に再度立ち寄ろうかと考えているほどだ。

 

21. FOSSIL (フォッシル)

ファッションウォッチがメイン。1万円以下の商品もそれなりに見かけた。

 

22. Swarovski (スワロフスキー)
23. OAKLEY VAULT (オークリー・ボルト)

 

24. Samsonite (サムソナイト)
25. TUMI (トゥミ)

いずれも米国を代表するスーツケース・バッグのブランド。サムソナイトの方が値引き率が高い印象。もともと狙いの品があったようで、タイムセール等をうまく活用し、実質55%オフ程度で買われて帰国された方もいた。

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その他

26. BOSE (ボーズ)

説明不要の音響機器メーカー。基本的にあまり値引きされていない印象だが、極一部だけ何故か半額になっていたりと油断も隙もない。半額時に運よく遭遇できれば、最もお得な買い物になる可能性もある。ある意味一番アウトレットらしいかもしれない。

 

27. LE CREUSET (ル・クルーゼ)

カラフルなホーローで大人気のキッチンウェアメーカー。フランス発だけあって、ザッと見た限りではかなり値引きは辛い印象。

 

28. UGG (アグ) 

ムートンブーツで有名な同社だが、ここではホームウェアのUGGである。BED&BATH BEYOND(ベッドバスビヨンド)の店内にあるUGGブースに、ラグや枕などが展開されている。

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UGGに寝具類があるとは寡聞にして存じ上げなかった。なお割引率はそれほどでもなかった記憶である。

 

29. Bath&Body Works (バスボディワークス)

日本未上陸のボディケア用品店。若い女性向けといった印象。印象はやや異なるものの、商品の傾向としてはLUSHに近いかもしれない。そういった事情もあって、お土産に人気との事である。

 

30. Marshalls (マーシャルズ)
31. TJ Maxx (ティージェイマックス)

様々な有名ブランドの廃番品や過剰在庫等々を値引きしてまとめて捌く、アメリカでは有名なオフプライスショップ。服を中心に靴、鞄、化粧品、キッチン用品、家具、食品などなど幅広く取り扱っている。グレイトレイクスアウトレットに限らず、様々な施設に店舗を構えている。どちらも同じ会社が経営しているようで、言われてみれば店の雰囲気も似通っている。

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ブランド別には分かれておらず、ジャンルごとに大雑把に分けて陳列されている。無差別でお得に宝探しをしたい方にはおすすめである。そもそも日系駐在者には人気だとの噂も聞く。

グレイトレイクスアウトレットで少々注意したいのが、サムソナイト、ケイトスペード、マイケルコース、カルバンクラインあたりの商品である。というのは、このあたりのブランドはマーシャルズやTJマックスでもよく見かけるので、どちらも似たような製品を置いている可能性がある。そしてどっちが安いかは確認しなければわからないのである。

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やはり国土が広いこともあってか、スーツケースの品揃えは妙に良いところが多い印象。サムソナイトも結構置いている。店舗や時期にもよるが、一番小さいだと$40代から買えるようだ。

 

ちなみにこれはあらゆる店舗において言える事ではあるが、アメリカ本国のアウトレットのため、日本のライセンス品の品揃えは存在しないはずである。一方で米国にもライセンス品の考え方は存在する(例えばFOSSILなどはかなり精力的に行っている)ため、そのあたりの絡みでラインナップがかなり変わる可能性がある事には注意したい。

例えば日本で展開されているライセンス品のデザインが気に入っているなどといった場合は、それは当然日本で購入した方が良いということになる。

 

番外編

32. レゴランド

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ちなみに筆者はレゴランドではなく、その隣のポートメッセ名古屋しか行ったことがない。

ここは説明不要であろう。中は見ていないが、Indoor Play Groundとあるので何かはあるのだろう。ひょっとすると、アメリカ限定モデルなどもあるのかもしれない。もしお子さんが好き、或いはご自身がお好きだったりするのであれば、一見の価値はあるだろうと推測する。

 
33. ラウンドワン

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まさかミシガン州にまで進出していようとは、まったくもって恐れ入る。

こちらも説明不要であろうが、日本で良く見知った施設も入っていた。

 

34. TEAMENSION (ティーメンション)

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入口左手に見えるキャラクターについては何も言うまい。

こちらはタピオカティーの店舗だそうだ。日本でも流行っていると聞くが、こちらでも流行っているのかもしれない。

 

 

 

以上が極めて見識の狭い筆者の独断と偏見で選ばれた店舗たちである。無論、これ以外にも数多くショップが軒を連ねている。日本ではあまり知られていないショップも多いため、時間があるのであればまずは1周ぐるりと回ってみることをおすすめしたい。

 

 

 

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ちなみに散々意見を垂れ流しておきながら、筆者が購入したのはビアレッティのミルクピッチャー唯一つである。値引き額は驚愕の50¢であった。

 

Raretsu

 

【SHINOLA シャイノーラ】新生デトロイトを牽引するは、洒脱なる意匠か、即妙なる手腕か

 

 

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新生デトロイトを象徴するブランドたり得るか、はたまた…?


※1 およそ1500文字におよぶ冗長にして内容の薄い前置きを、何としても回避されたい方はこちらへ。

※2 その後2500文字以上に及ぶ冗長にして個人的な意見の垂れ流しを、是が非でも回避されたい方はこちらへ。

 

 

腕時計の明日を憂う腕時計フリークの諸兄姉に対し今さらになって説く必要もなかろうが、新興の時計ブランドを発見した時の興奮とは、なかなかどうして筆舌に尽くしがたいものがある。

特に、単純な値段の安さのみによって勝負するでなく、そのクオリティに一定の自負を掲げているブランドほど、その行く末が気になるものである。そしてそれが、かつて財政破綻の辛酸をなめた街その直下にて、復活の狼煙よろしく高らかに産声を上げたとなれば、その期待値が高まるのも必然といえよう。

 

さて、そんな再帰を約束したブランドこそ、このアメリカデトロイト発シャイノラ【SHINOLA】である。

www.shinola.com

 

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SHINOLA FLAGSHIP WOODWARDの店舗。近辺には比較的高級店が多いが、わけてもFancyに仕上がった店舗といえるのではないだろうか。

 

このSHINOLA、聞くところによれば2011年に始まったという事である。腕時計メーカーの括りで言えば、賛否両面の意味で話題になったKnotよりも4年も前に創業している事になる。更にこれまた爆発的なヒットを呼び、かつ議論を呼ぶメーカーであるDaniel Wellingtonと同年だというのだから驚きである。いや、驚くべきは筆者の浅学ぶりであるか。

 

なお日本にも、およそ2年前に上陸を果たしているようだ。百貨店の雄たる伊勢丹にて取り扱いがあるというのだから、創業者としても鼻高々であろう。既に直営店は30店舗を数え、更にこのSHINOLA、勢いそのままに時計のみならず、皮革製品アクセサリー自転車、更にはホテル経営まで手掛けているという。まさしく飛ぶ鳥を落とす勢いと言う他に形容する言葉が見当たらない。

 

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先述した通り、陳列も含めてFancyに仕上がっている。

 

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HERMESやVITTONのような業態であればいざ知らず、時計ブランドで自転車を、というのは少し珍しいように感じる。

 

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ホテルの入り口もなかなか洒落た雰囲気である。なお左隣にカフェも存在する。

 

またこのSHINOLA、いわゆる低価格であることを強みとしたダニエルウェリントンやKnotとは異なり、MADE IN USAであることを前提に、そこへ現代的なデザインを結集させ製品へと昇華させているという。

 

これらの矜持からか、時計の価格帯はメンズのクォーツタイプでおよそ6万円~、自動巻きで10万円~20万円前後。レディースも6万円~、ダイヤモンドセッティングで約30万円といったラインナップである。なお基本的にケースはステンレス製(あるいはPVD)で、18金ケースのラインナップはないようである。ちなみに手巻きモデルも存在しない模様である。

※目安の価格はいずれも2019年6月現在の本国価格。

 

 

 さてそんなSHINOLAであるが、曲がりなりにもその生誕地ミシガンに駐在しているからには、その実店舗を訪問し実物を拝見することこそ、世界標準の道理といえよう。特にブランパン、いやBlancpainをデトロイトへ連れてこなかった筆者としては、アメリカの先鋭たりうる彼の物を一目見ずして帰還は許されまい。

 そのような止むに止まれぬ事情によって訪れたのが、冒頭にて紹介したSHINOLA FLAGSHIP WOODWARDの店舗である。

さて、およそ1500文字におよぶ冗長にして内容の薄い前置きはここまでにするとして、ここからは筆者の極めて個人的な偏見にまみれた冗長にして内容の薄い感想を垂れ流していくことにする。

 

 

 

- SHINOLA (シャイノラ) -

 

特筆すべきではなかろうか、と思案する点

1. 優れたデザイン性

2. デトロイト発という希少性

3. サイズ展開の幅広さ(ユニセックスモデルの存在)

 

 

1. 優れたデザイン性

これはブランドのコンセプトそのものであるからして、わざわざ指摘するまでもない点ではあろうが、極めて個人的な視点で見たとしても、なかなかどうして調和のとれたデザインではなかろうかと感じる。

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左から2つ目はヴィンテージ感のあるケース仕上げのようである。また、レザーは彼の高名なHORWEEN社のものであるとか。

 

最近はクラシックな顔つきのアナログ時計が増えたように思うが、このSHINOLAのデザインはアナログであるのみならず、都会的なデザインでありつつ、それでいてなお洒脱でさえあるといえるのではなかろうか。写真で言及したケースのみならず、文字盤の素材や色合いも既に様々出ているようで、モデルによって表情は豊富である。

アメリカはデトロイト発と銘打つと、ややもすると大味なデザインが想起されそうであるが、そういった憶測をいい意味で裏切っていると感じる。

 

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レザーストラップのモデルが多いように感じたが、ステンレスブレスのモデルもラインナップされている。一見すると真ん中のモデル、その色合いも相まって某3大ブランドの海を越えた何かのエッセンスを感じると言っても過言であった。

 

現代において、腕時計(特にアナログ時計)のデザインというのはある程度出尽くした感があると思われるので、たとえ最新作であれ、過去のどこどこのデザインに似ている、などという事はブランドを問わず起こりうる現象であるだろう。故に「どこどこのパクりだ」などと逐次やり玉に挙げるのは厄介な議論を呼びかねない。無論、あまりに露骨なそれは時に断罪されるケースもあろうが。

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所謂ダイバーズウォッチの原型はFifty Fathomsで提案され、続くSubmarinerで確立されたと伝えられるが、このモデルはそれらのニュアンスを取り入れつつまとめられたデザインと言えるのでは。LAKE MICHIGANという名前も小気味よく感じられるようだ。

出典:SHINOLA

 

そんな複雑な時計の世界において、ヴィンテージ感もあり、都会的なエッセンスも感じられ、どこかかわいらしいニュアンスも示唆する同社のデザインはなかなかいい立ち位置にある、と言えるのではないだろうか。

 

 

2. デトロイト発という希少性

今なお高級時計と言えばスイス勢、或いはそこへ追随するドイツ勢、そして普及時計という点でも日本勢が圧倒する中、アメリカの、しかもデトロイト発というキャラクターは何をおいても特異という他ないだろう。かつて自動車産業で栄えたこともあり、機械製品のマスプロダクションにおいては一家言ある、という背景も小気味よく響いてくる。先述の通り、デザインの面ではいい意味で裏切っている以上、ブランドの作り方としてはなかなか合理的に思える。

また、こと日本の状況を鑑みると、このSHINOLAは未だ周知されたブランドとは言い難いのではなかろうか。伊勢丹に進出している以上、いずれはブランド名も知れ渡るのかもしれないが、しかし普及帯というにはやや高い時計を買う場合、他人と被る事を危惧する消費者もいるだろう。そういった意味でも、このデトロイト発という希少性はプラスに働く場合もあると推察する。

 

 

3. サイズ展開の幅広さ(ユニセックスモデルの存在)

近年、腕時計のデザインというのは大きめサイズが主流である場合が多い。これは大雑把に言えば、腕時計が単に時間を確認するための道具であることから脱し、ともすればアクセサリーとしての側面が強まってきたためと言えるかもしれない。ごくごく最近でいえばやや小径化してきた感もあるものの、男性向けモデルであれば40mm前後かそれ以上が大体のメーカーの主流と言えるだろう。38mmくらいのモデルすら意外と少なく、筆者のように小ぶりサイズを好む者からすると、冬の時代とさえいえる。ご多分に漏れず、このSHINOLAにも48mm級という極めて巨大(ここは敢えてそう明言したい)なラインナップが存在する。

 

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「つけてみると意外と大きさを感じない」と宣う記事も散見するが、ここが辺境ブログであることを最大限活用し、敢えて「48mmは腕時計としては明らかに巨大である」と明言したい。

 出典:SHINOLA

 

その一方で、SHINOLAには現代としては極めて小ぶりといえる、36mmというサイズが存在する。これはどうやら完璧なメンズモデルというよりはユニセックスモデルという位置づけとのことだが、30mm半ばのサイズ展開は現代においては希少といえよう。先述した通り、独特のデザインとマッチし何とも小気味よい風貌とは言えまいか。

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現代において36mmというサイズはなかなかに得難く、陰険な筆者ですら快哉を叫びたくなるほどである。

 出典:SHINOLA

 

なお、女性向けモデルは20mm後半から取り扱いがあるようだ。

 

 

 

 

注視すべきではなかろうか、と思案する点

1. 価格帯はかなり強気

2. サイズ展開は幅広いが…

3. ケースの厚み

 

 

1. 価格帯はかなり強気

価格帯についてはおよそ1500文字におよぶ冗長にして内容の薄い前置きにて言及したが、SHINOLAが全体的に強気の価格設定である事は、改めて述べねばなるまい。全モデルの風防がどうやらサファイアガラスであるらしいという事を含めても、新興の、それも米国ブランドの設定としてみると些か高額に感じる。

メンズ・レディースいずれも6万円~と書いたものの、ラウンドケース以外のモデルは全体的にもう少し高めになる。全体的にクォーツのモデルが多く、加えて自動巻きについてはメンズ・レディースともに10万円以下のモデルは存在しないようである。無論これらはすべて本国価格であるため、日本で購入する場合はもう少し価格が上昇するであろうことが推察できる。

 

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メンズのラインナップ。現在の最低価格は$550~であるようだ。

出典:SHINOLA

 

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こちらはレディースのラインナップ。基本的にはメンズと同様の傾向だが、一部にダイヤモンドセッティングモデルがあるため、上限は高めである。

出典:SHINOLA

 

 

なお、ムーブメントがインハウスであるのか否か、或いはサプライヤーはどこなのか、メイドインUSAを謳ってはいるが実際はどこまでUSAで生産しているのか、等々の考察についてはここでは触れないこととしたい。ただでさえ冗長にして内容の薄い記事が更に薄味になることは言うに及ばず、また何やらSHINOLAはデザインブランドである、との記述をどこかで拝見したように思うので、妙なところを突っ込むのは野暮だという判断からである。それに、そのあたりについては既にいくつもの刺激的な記事が投稿されているようである。

 やや穿った見方になるが、2011年に旗を揚げ、ホテル経営にまで多角化を進めている側面を併せ考えると、高級ブランドとしての未来を希求しているようにも感じる。そういう意味では価格設定は間違っていないのかもしれない。そもそも高いと感じるのは、筆者が必要以上に陰険だからかもしれないという点については、ここでは触れないでおきたい。

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価格だけでなく、比較対象として名指しでメーカー名を挙げているあたり、公式サイトのレビューもなかなかどうして強気である。

出典:SHINOLA

 

 

2. サイズ展開は幅広いが…

先述した通り、メンズモデルでも36mmという小ぶりなモデルが存在する。それ自体は(筆者としては)非常に喜ばしいことだが、しかしその36mmというのはデザインとしては実質1モデルのみである。また、全体とみると43mm以上の大振りケースがやはり大半を占めている。無論、こればかりは時代の流れなのでSHINOLAに限った欠点というわけではない。あくまでオプションとして36mm級のサイズもある、といった位置づけなのであろう。

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大勢を占めるのはやはり40mm以上の大径モデル(やはり大径である、と敢えて明言しておきたいのが陰険なる筆者である)である。

出典:SHINOLA

 

3. ケースの厚み

率直に言って、この点を気にするのは筆者のような陰険な者以外にいないであろうが、全体的にやや、いやわずかに、時計の厚みが気にならないでもない。都会的な顔つきの時計が多く、またクォーツモデルが主力である(と推察される)以上、もう少し厚みを削っても良かったのではないか…と感じずにはいられないのがこの陰険な筆者である。もっともこれは普段どのくらいの厚さ或いはサイズ感の時計をつけているか、によって当然相当幅の出てくる意見であるからして、陰険な筆者によって指摘されたからといって何ら考慮に値しない場合もあるだろう。

 

 

 

 

 

以上が2500文字以上に及ぶ冗長にして個人的な意見の垂れ流しである。後半の内容は重箱の隅をつつくような陰険にして的外れな指摘をしてしまったきらいがあるため、デザインの点でもうひとつプラスの点を述べてから筆を置きたい。

 

 

SHINOLA FLAGSHIP WOODWARDから出て左手に曲がると、とある飲食店が居を構えており、その店舗の時計がどうやらSHINOLAの物であった。これがなかなかに洒脱で、この陰険な筆者ですら知らずのうちに足を止めてしまうほどであった。

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角型時計はバランスが難しいように思うが、これは見事に街並みに調和しつつ、かつ粋なデザインではなかろうか。

 

また、レディースの1モデルであるTHE MULDOWNEYというラインが店舗で展示されていたが、なかなか目を引いた。

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角型のデザインはどうにも難しいイメージが付きまとうが、このモデルに関してはなかなかに均整の取れた、それでいて何やらコケティッシュな感覚すら覚えると言っては過言であろうか。


とにもかくにも、このSHINOLAの真骨頂とはやはりデザインにあるのではないかと感じずにはいられない。特に角型のケースにおいては、いや角型に限るのは陰険な筆者だけかもしれないが、極めて小気味よいデザインを生み出している事に好感を覚える。某スイスの丸形の機械式時計しか造らないというブランドに対抗し、角型の時計のみで勝負する…というのは無謀かもしれないが、しかし今後のバリエーション展開には期待が持てると言っても過言ではないのではなかろうか。