この全米堂々第14位のGDPを誇るミシガンに限らず、米国ではオフプライスストアと言うものをよく見かける。
このオフプライスストア、いわゆる一般的なアウトレットとは異なり、様々なジャンル・ブランドの商品の中から、恐らく廃番商品や過剰在庫、はたまた返品されたもの等を大量に仕入れ、常時安値で捌いていくスタイルの店舗である。
日本においてもファミリーセール等で似たような試みがあるが、オフプライスストアは常設で、誰でも入場可能で、しかも値引き率もかなり高い。
例えば日本でオンワードグループのファミリーセールに足を運んだ事があるが、全体的な値引き率に関しては、米国のオフプライスストアの方が高かった印象である。
そんなオフプライスストアだが、基本的にあちこちどこへでも出店している。
以前紹介した通りアウトレットの中にあることもあれば、普通に車道の脇にあったりする。
この手のオフプライスストアでもとりわけ米国で有名なのが、
の2つである。
いずれの店舗も同じTJX Companiesによって展開されており、例えばミシガン近郊で見てみれば両業種合わせて結構な店舗数である。
実際のところ、筆者のアパートのほど近くにもマーシャルズがあるため、たまに何か良いものがないかと眺めることがあるほどである。
ところでこの2つ、いずれも服や靴や鞄、家具に化粧品にキッチン用品、あるいは玩具や食品といったもの展開しているのだが、元の会社が同じだからか展開ブランドには結構被りがある。
例えば男性物の服であれば、Calvin Klein (カルバンクライン) とかTommy Filfiger (トミーフィルフィガー) 等をよく見かけるし、
女性物の鞄ゾーンに大量に吊るされたものを見れば、Michael Kors (マイケルコース) やMarc Jacobs (マークジェイコブス) といったあたりを散見する。
あるいは旅行鞄であれば、Samsonite (サムソナイト) はどの店舗でも必ずおいてある印象である。
この手のブランドがお値打ちで手に入る、ということであるからそれなりに人気があり、わけても日本人駐在員などからはよく勧められる。
しかし最近になって現地のスタッフにそれとなく尋ねたところ、
「うぬは行くのか。我はあまり行かぬ。」
という回答が返ってきた。
して、それは何故かと問えば、
「何やら小粋でない」
という事らしい。
では何やら小粋なオフプライスストアとは?と問えば、
「Nordstrom Rack (ノードストロームラック) ではないか。」
との回答があり、ここにおいて本題のノードストロームラックが飛び込んできたわけである。
NordStrom Rack
このノードストロームラック、名前の通りNordstrom (全米有数の百貨店チェーン) によって運営されており、そのうちの売り上げの5分の1ほどを占めているというから、結構な存在感があるのだろう。
して、焦点はどこが何やら小粋なのかという事であるが、
端的に言えば恐らく、それは取り扱いブランドの差である。
更に詳らかに表現すれば、
ちょっぴりリッチなブランドがおいてある
ということであろう。
例えば男性物の服であれば、カルバンクラインやトミーフィルフィガー等に加えて、
TED BAKER (テッドベイカー)
Original Penguin (オリジナルペンギン)
7 for All Mankind (セブンフォーオールマンカインド)
HUGO BOSS (ヒューゴボス)
Woolrich (ウールリッチ)
Peter Millar (ピーターミラー)
Burberry (バーバリー)
といった面々を見ることができる。また、百貨店ベースだからかスーツ等の比較的かっちりした衣類も結構そろっているようである。
更に靴で言うならば、コールハーンなどはマーシャルズでもよく見るが、それらに加えて
UGG (アグ)
Dr. Martens (ドクターマーチン)
Allen Edmonds (アレンエドモンズ)
Florsheim (フローシャイム)
MAGNANNI (マグナーニ)
あたりが所狭しと並んでいる。
ちょっと驚いたのが、スペインのマグナーニが普通に沢山置いてある事である。
このマグナーニ、日本で普通に買うと5, 6万円ほどすることは見識の筆者ですら知っているが、しかしここではゆうに2万円を切っている。
更に現地スタッフによれば、SANTONI (サントーニ) も普通に置いてあるらしい。
マグナーニと同じく、値段は200ドルを切るということであるからして、サイズさえ合えばまさしく適品と言えるだろう。
ところでマグナーニとサントーニのアウトレット言えば、お台場はVenusFortの
LESPACE de SHOES STOCK
の名前がよく挙がるように思うが、あちらが日本価格から〇〇%オフなのに対し、こちらは米国価格から〇〇%オフという考え方である。
関税の関係もあって元々の価格は日本の方がひとまわり高いので、同じ割引率だったとしてもこちらの方が安い上、その値引き率自体も全体的にこちらの方が高いので、最終的な価格はNordstrom Rackに軍配が上がる。
ただ靴の注意点としては、
・やたらサイズが大きい (レギュラーサイズとしてUS9~US14、数は少ないが最大でUS20くらいまであるらしい) こと
・ガンガン試着していいシステムなので、完品ではない場合が多い (履き皴等)
・革底が殆ど置いていないこと (ノードストロームラックに限って話ではないが)
といったところであろうか。
どのブランドもざらに50%オフはされているので、たとえばもともとが安いマーチン等は余裕をもって1万円を切ってくる。
ちなみにレディースの方に関しては、更にもうちょっとリッチな物、例えば
Salvatore Ferragamo (サルヴァトーレフェラガモ)
Dolce&Gabbana (ドルチェアンドガッバーナ)
Christian Louboutin (クリスチャンルブタン)
と言った面々が出ている事もあるようだ。
一方で鞄は
Tory Burch (トリーバーチ)
Kate Spade (ケイトスペード)
Marc Jacobs (マークジェイコブス)
といったいわゆる大衆ブランドが殆どの模様である。
筆者の見た限りでは特にトリーバーチが所狭しと並べられており、どれもこれも半値以下になっていた。$200以上の物は見なかったので、日本の価格と比べるとかなりお値打ちなのではと思う。
マーシャルズ等と同様、トランクケースのコーナーもしっかりとある。
あちらでよく見かけるサムソナイトに加えて、こちらではTUMIもラインナップされているようである。
また、このNordStrom Rackがもう一つ何やら小粋な点として、店舗数が少なめということがあるだろう。
先ほどのマーシャルズやTJマックスと同じ範囲で見ると、下記のようである。
ともあれマーシャルズやTJマックスに比べ、ややプレミア感のある品揃え&店舗数。
値引き率も全体的に結構高く、50%~70%オフはざらにある。
質やデザインの良いブランド物を安く手に入れたいが、マーシャルズは何となく物足りないし、他人と被ってしまう確率が高いから避けたい。
といったような意向の諸兄姉に支持され、今後もちょっと小粋なオフプライスストアとして君臨していくのだろうか、と愚考した次第である。
Raretsu