モノ魔リスト

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必要ではない。だがよく考えてみると、たしかに必要ではないようだが愛すべきモノたち。

あのサザビーズで腕時計を落札した話 後編

前編では支払いまでの流れを垂れ流したが、後編では落札後の物品受領までを記載したい。

bran-cpain.hatenablog.jp

料金支払い後の流れ

クレジットカード決済で落札代金と手数料、送料を払い終えると、4,5日ほどで発送の連絡がメールで届いた。配達業者はFedex

発送連絡から数日後、見慣れない成田の番号から着信があったので受け取ると、成田税関からの電話であった。腕時計は関税こそかからないが、消費税は発生するためその支払い依頼である。

個人使用の場合、税関申告価格の6割に日本の消費税が加算される。これで今回の落札に係るクレジットカード利用は3回目である。

物品受け取り

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無事に受け取る事が出来た。

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梱包はマトリョーシカ式だった。

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サザビーズのロゴ入り袋(合皮製)がお出迎え。

腕時計を落札したというのに、何故こんなに袋が小さいのか。

答えは単純で、腕時計本体尾錠しか入っていないからである。

 

サザビーズオークションの各ページを見ると、Restricted Speciesとの表示のある出品がある。ワシントン条約(CITES)に引っかかるため、米国外およびCA州には送付ができない旨を示す但し書きである。

革ストラップの腕時計の場合、基本的にベルトはついてこないと考えた方がいいだろう。サザビーズで出るような時計はある程度高級である場合が多く、となると大方はアリゲーターかクロコダイル製であるからだ。個人の時計店などだと、しれっと冊子に挟んだりしてベルトも送ってくる店などもあるが、そこは老舗のオークションハウス。きっちりとCITESを遵守している。

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どんな梱包をしてくるのか少し興味があったが、パケ袋にプチプチを小さく切ったもので包む、という極めて一般的なスタイルだった。NYから発送されているはずなのに、パケ袋に『プラ』の日本語があるのが少し面白い。 

支払総額シミュレート:1万ドルで腕時計を落札した場合

無事商品を受け取ったところで、やはり振り返ると手数料が印象的な取引だった。

そこで今後利用するかどうかは何とも言えないが、一応備忘録として支払総額シミュレートを書き残しておきたい。

 

わかりやすい例として、10,000 USDで時計を落札した場合を考えてみると、落札額とその他の費用は以下のようにまとめられる。

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*送料は一律で200 USDとした。

**税関申告額の60%に対し、日本国の消費税10%を適用。


この時点で支払総額は13,556 USDとなる。腕時計の品目の場合、関税は無税だが消費税は発生することに留意したい。クレジットカード決済の場合はここに、外貨取扱手数料が乗る。

カードの外貨取扱手数料を1.6%、為替レートを1 USD = 110 JPYと仮定して試算すると、日本円での最終的な支払総額は151万5019円となる。

支払総額は、落札額の概ね1.4倍弱程度と考えるのが妥当だろうか。

プレミアムだが、意外と大雑把なオークション体験

これまではサザビーズと聞くと、富裕層にしか参加し得ないイベントに聞こえて仕方が無かったの事は前回にも述べた。しかし今回実際に参加してみると、確かにプレミアムではあるものの、思った以上にカジュアルに取引できた。

手数料以外に注意点があるとすれば、サザビーズは時計店ではないという点だろう。前編で述べた通り、今回はCondition Reportに割と初歩的な誤りがあった。内容も思いのほか大雑把な場合もあるので、入札前にCondition Reportをよく読み、必要であれば質疑して様子を見たほうが良い場合もあるだろう。また購入後の保証も特になく現品現状渡しとなるため、周辺知識があるに越した事は無い。

 

とはいえ、ずらりと並ぶ出品の中には珍しい出物もある。お目当てが見つかった暁には、高額な手数料に気を付けつつ参加してみては如何であろうか。

 

あのサザビーズで腕時計を落札した話 前編

サザビーズといえば、クリスティーズと並んで著名なオークションハウスとして有名である。落札額が高額になったりすると、日本でもたまにニュースになったりもする。

そういうニュースを聞くと、荘厳な会場の中で何億円とするアートを囲み、リアルタイムで札束のインファイトを繰り広げる富裕層…という安直なイメージと共に、自分には縁遠い世界だと思っていた。やれバンクシーがどうとか、バスキアがこうとか、そういう次元のイメージである。

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出典:Sotheby's

 

…思っていたが、よくよく見てみれば腕時計もそれなりに出品されている。

そしてそれらの多くは数十万円~数百万円程度で、尚且つインターネットでの参加が可能だったりする。

実際、筆者が今回見つけたのはそういう品であった。 

サザビーズで入札するまで

筆者はややマニアックな、特定の年代に製作された時計を好む傾向にある。その手の時計は個体数も少ないため、日ごろから世界中の時計在庫をチェックする習性がある。

大体は2年か3年くらい巡回していればひょっこり出てきたりするのだが、今回探していたものは探し始めて5年ほど経っており、サザビーズで見つけると同時に参戦を決意した。

入札にあたっては、まずは会員登録が必要になる。サザビーズの会員登録、というとやや剣呑なイメージも無くはないが、別に審査などはない。登録用のメールアドレスと住所、クレジットカード情報があれば問題なく、登録が終わればすぐ入札が可能になる。

初回の入札時は、身分証の提示なども必要ないようだ。 

出品情報の誤りを指摘する試み

いきなり余談だが、同じ時計を4年も5年も探し続けていれば、そのモデルについて詳しくなることは想像に難くない。筆者もその典型であり、ついては初めてHPで情報を確認した際、記載された内容に一部誤りを発見してしまった。

サザビーズほどの老舗が間違えるものか?と少し訝しむ気持ちはあったが、一応Client Careにコンタクトを取り、その真偽を確認してみた。

数日待った結果として、記載の誤りが修正された。具体的には"Saleroom Notice"なる形で訂正・追記がなされていた。数日かかったのは、製造元の時計ブランドに問い合わせていたかららしい。ついでとばかりに、筆者が質問した以外の情報についても一部加筆されていた。

誤り自体は、筆者のような素人が気付くくらいであるから、割と初歩的なものであった気もした。が、サザビーズが手掛ける商品は多岐にわたるため、よほどの高額品でない限りは存外に緩めの掲載基準なのかもしれない。

とはいえ、まだ会員登録したばかりで入札もしていないような筆者の質問についても、情報を訂正する点は割と好感が持てるところだ。

流石は著名なオークションハウスの面目躍如といったところか。

かなり強気な手数料

サザビーズを一度でも利用した事がある諸兄姉は、その高額な手数料に覚えがあるだろう。日本で有名なヤフオクでは、出品者が落札額の10%程度の手数料を払うことで知られているが、サザビーズにおいては落札者も"Buyer's Premium"なる手数料を払う必要があるのだ。

 

そして、このバイヤーズプレミアムが強気である。

2021年6月現在、NYでは落札額の13.9%~25%となっているが、下記のチャートで確認できる通り、400,000 USD以下の落札はすべて25%が適用される。

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出典: Sotheby's

商品が時計であるならば、極一部の超高額品を除いて基本は25%の手数料がかかると把握した方が良さそうだ。

ちなみにこの手数料、年々上昇している。

 

直近では、昨今のコロナ情勢に絡んで"Overhead Premium"という手数料が追加された。

このオーバーヘッドプレミアムは、バイヤーズプレミアムとは別に落札額の1%に課される手数料だが、実質的にはバイヤーズプレミアムが26%へ上昇したとも捉えられる。 

en.thevalue.com

まとめると、落札金額に加えて手数料が26%発生し、そこへ更に送料を乗せた金額が最終請求額となる。 

現在価格だけを眺めていると、最終的な支払額を見て腰を抜かすことになるのは自明である。一見相場以下に見えても、最終的にはそうでもなかった、というのが頻繁に起こるだろうから、入札時には留意したい。

"Estimate"の影響力

サザビーズには"Estimate"という指標がある。これは、オークションハウス側が「これくらいの価格になるだろう」と目論む想定落札額のことで、出品される前に提示されている。幅は価格によるが、例えば10,000 - 15,000 USDなど幅をもって示される。

一見するとただの指標のように見えるが、これがなかなかどうして影響力が強い。

例として、直近2021年6月中旬に終了したオークション群"Fine Watches"を眺めてみる。

122点ある腕時計の落札データのうち、Estimate以下での落札は14点、Estimate以内は56点、Estimate以上は52点であった。実に全体の半数近くがEstimate以内で落札されている事になる。また、Estimate以下の落札は少ないのに、Estimate以上の落札は4割程度とかなり多い。

 

何故このようになるかといえば、やはり手数料の影響が大きいだろう。

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出典: Sotheby's

例えば上の例だと、Estimateは6,000 - 9,000 USDとなっている。落札時の価格は8,000 USDだったのだろう。8,000 USDでの落札となればEstimate以内じゃないか、となりそうなものだが、先述の通りここに手数料が乗る。

8,000 USDに26%を加算すると最終的に10,080 USDとなる。入札した時にはEstimate以内で落札できた感覚だったものが、最終価格で見るとEstimateを大きく超えている、という事態が往々にして発生するわけだ。手数料の重さがよくわかる例だと思う。

裏を返せば、Estimate以下で落札するのはなかなか難しいといえる。

サザビーズへの支払い

晴れて商品を落札すると、数時間後にInvoiceがメールで送付されてくる。

商品そのもののInvoiceと、送料のInvoiceとに分かれているが、合算して一度に払うこともできる。

また支払いの前には、公的な身分証明書の提示が必要となる。アプリ経由で免許証を撮影するなどが一般的なようだ。日本語の免許証にも問題なく対応している。

 

肝心の決済方法だが、日本在住の場合は基本的にクレジットカード支払いとなるだろう。となるともちろん外貨決済の手数料、それと為替が絡んでくることにも留意したい。

バイヤーズプレミアムも含め、手数料でいくら取られているかを考えると眩暈がしそうであるが…あと2年くらい早く出品されていれば、米国の銀行から支払いできたものだが、こればかりは致し方ない。

なお送料については200 USDを超える。そもそも国際便だし、補償もついているので仕方なかろうが、やはり額面を見るにプレミアム感がある。

 

後編へ続く

アメリカの有名百貨店とアウトレット店舗一覧を垂れ流してみる

 

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日本でもそうであるように、米国にもやはり数多くの百貨店が存在し、日々しのぎを削っている。そして景気の動向や消費傾向の変化に伴い、業界全体としてやや苦境に立たされている状況も共通している。

例えば高級百貨店として高名な米バーニーズニューヨークが破綻したというニュースは、人によっては記憶に新しいかもしれない。

 

そんな共通点もある中、米国における百貨店事情を漠然と眺めると、日本と少し異なる様相を呈している側面もある。

そのひとつとして、『オフプライスストア』が公然と存在している事がある。

c-fine.jp

 

そのオフプライスストアの形態にも、

1. 百貨店が直々に運営しているタイプ

2. 百貨店とは別の会社が運営しているタイプ

の2つに大別されるようである。

 

1のタイプで有名なのはTJXカンパニーが手掛けるマーシャルズTJマックスであり、2のタイプとして有名なものにはノードストロームが経営するノードストロームラックがある。この辺りについては、既に以前の記事で垂れ流した通りである。

bran-cpain.hatenablog.jp

 

この手のストアは季節に関係なく、年がら年中セール価格で販売している。そして、そのセール価格販売から生み出される売上というのも決して無視できないレベルだそうである。

ノードストロームで言えば、売上全体の約20%ノードストロームラックによるものらしく、決して無視できない割合である。実際、仕事終わりや週末に訪れると結構な混み具合で繁盛しているように見える。老舗百貨店のノードストロームでこの状況なのだから、他の百貨店においても同様の事情だったとしてもおかしくない。

 

 

となると、

どの百貨店が、

それぞれどういった店舗を、

どの程度の規模で展開しているのか、

ということが気になって仕方がないのが偏屈な筆者というものである。

 

よって、本体となる百貨店を黒字

そのアウトレット店舗(オフプライス店舗)を赤字

 

で表記して垂れ流していく事にする。

※なおあくまで『垂れ流す』であって、断じて『まとめる』などという大層なものでは無い。この程度の情報は今の時代、ググればすぐに出てくるような代物なことは筆者とて重々承知である。

 

 

Macy's (メイシーズ)

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創業:1851年、ニューヨーク

店舗数:636 (2019年)

備考:親会社としてMacy's, Inc.が存在する。全体的に手ごろな価格帯のブランドを扱っている、一般庶民向けの百貨店。イメージとしてはスーパーマーケットの延長線上、と言った方が正しいかもしれない。Thanksgiving DayにNYで行われるパレードは非常に有名。

 

Macy's Backstage (メイシーズ バックステージ)

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店舗数:120 (2019年)

備考:Macy'sのオフプライスストア。そもそもMacy'sが高級デパートと言う感じではないので、今回紹介する中ではもっとも安価なものが揃う。値引き額も大きいイメージ。所謂高級ブランド品はあまりない。どのオフプライス店舗よりも展示が大雑把。ワゴンに放りこんでそのまま、といったような様相も珍しくないため、本当に在庫処分と言う感じに見える。

 

Bloomingdale's (ブルーミングデールズ)

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創業:1860年、ニューヨーク

店舗数:38 (2019年)

備考:親会社はMacy's, Inc.で、Macy'sと同じである。Macy'sよりはやや高級な、所謂百貨店らしい百貨店といったところ。立ち位置は恐らくNordstromと似たようなライン。

 

Bloomingdale's Outlet (ブルーミングデールズ アウトレット)

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店舗数:19 (2019年)

備考:残念ながらミシガンにはないため、筆者は未来訪。

 

Nordstrom (ノードストローム)

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創業:1901年、シアトル

店舗数:119 (2019年)

備考:元々はシアトルで創業した靴屋が起源。米国有数の規模の百貨店で、立ち位置はサックスフィフスアヴェニューよりやや下の高級百貨店、といったイメージ。米国の百貨店なのだが、何故か日本語のWikipediaの記述が充実しているのが興味深い。

 

Nordstrom Rack (ノードストローム ラック)

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店舗数:251 (2019年)

備考:百貨店が直接運営するオフプライスストアとしては、最多の出店かつ最も著名と思われる。オフプライスストアは通常ワンフロアなので、出店しやすいという事もあるのかもしれない。もともと靴屋として創業しただけあってか、マグナーニとかフェラガモ、ルブタン等も格安で見られる以前も垂れ流した。

ECサイトにも力を入れている模様で、Nordsrom Rackはウェブサイトも充実している。更にそれとは別にHauteLookというECサイトも持っているが、UIもかなり似ているので、たまにどっちがどっちかわからなくなる。

 

Saks Fifth Avenue (サックスフィフスアベニュー)

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創業:1867年、ニューヨーク

店舗数:46 (2015年)

備考:老舗高級百貨店として有名。立ち位置としてはNordstromよりもう少し上で、Neiman Marcusと競合関係にある模様。筆者の感覚としては、フロアの雰囲気やラインナップも含めて日本の伊勢丹に近いイメージ。

 

Saks Off 5th (サックスオフフィフス)

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店舗数:110 (2015年)

備考:お買い得なブランドももちろん多く置かれているが、いわゆるハイブランドの製品が結構ある。さすがに値引き率はやや辛いものの、プラダの鞄なんかも普通にアウトレット価格で売られている。サングラスの品揃えも多い印象で、定番のレイバンはもちろん、クロエやバルマンといったあまり見かけないものも。また、冬場はカシミヤ製品が結構放出されており、珍しいところではピアチェンツァのマフラーなども見かけた。Nordstrom Rackと同じく、ECサイトにも力を入れている印象。

 

Neiman Marcus (ニーマンマーカス)

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創業:1907年、テキサス

店舗数:43 (2019年)

備考:こちらも高級百貨店として有名で、サックスフィフスアベニューとはライバル関係にあるようだ。Neiman Marcus Group Inc.を親会社としている。サックスがやや重厚感のあるフロアスタイルだとしたら、ニーマンはそれをややお洒落に振った感じ、というのが筆者の安直なイメージ。

 

Neiman Marcus Last Call (ニーマンマーカス ラストコール)

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店舗数:30

備考:ハイエンド性を保つためか、最近になってオフプライス形態の店舗を閉店している模様。競合のSaks同様、ECサイトは充実している。

 

Barneys New York (バーニーズ ニューヨーク)

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創業:1923年、ニューヨーク

店舗数:経営破綻につき閉鎖

備考:こちらも米国を代表する高級百貨店で、サックスやニーマンが主な競合。1996年に一度経営破綻し、2019年にふたたびチャプター11の適用を申請。

経営破綻後も紆余曲折あったが、最終的にはかつての競合相手であるサックスフィフスアヴェニュー内に、ショップインショップとして生まれ変わることになったようである。2019年12月現在、バーニーズニューヨークのURLは自動的にBARNEYS at SAKSというページに転送されるようになっている。

なお日本のバーニーズ・ニューヨークとの間に、直接的な資本関係はない。 

 

Barneys New York Warehouse (バーニーズ ニューヨーク ウェアハウス)

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店舗数:経営破綻につき閉鎖

備考:こちらも2019年12月現在、Barneys WarehouseのページはSaks Off 5thへ転送されるようになっている。

 

Lord & Taylor (ロード&テイラー)

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創業:1826年、ニューヨーク

店舗数:38 (2019年)

備考:米国最古ともいわれる老舗の百貨店。こちらも苦境に立たされており、2019年1月にはNYの旗艦店を閉店し、同年8月にはサンフランシスコの新興企業Le Tote(ル・トート)へ売却されることとなった。このル・トートはアパレルや雑貨のレンタルを手掛ける企業で、アパレル版ネットフリックスとも呼ばれているようである。

ちなみにあのウォルマートでオリジナルブランドが販売されていたりもするが、アウトレット店舗らしい店舗は見当たらなかった。

 

Bergdorf Goodman (バーグドーフ グッドマン)

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創業:1899年、ニューヨーク

店舗数:2 (2019年)

備考:NYに2店舗だけ存在しており、Neiman Marcus Group Inc.の傘下。超高級百貨店として知られ、もはや伊勢丹に似ている似てないとかそういったレベルですらない。フロアは一般的な百貨店より大分狭く、限られた一定の空間の中に高級品が凝縮されているイメージ。客層も見るからに富裕層と思しき諸兄姉ばかり。その店舗数と性質上によるものか、アウトレット店舗は見つけられなかった。

 

 

 

というところで、筆者が立地的にアクセス/認知できた範囲でいっても、これだけの種類・展開数が存在していた。

くどいようだが、これらのアウトレット店舗では年中セール価格で商品が捌かれている。店舗あたりの敷地面積もさすがアメリカサイズであるし、たいがいネットショップも完備している。そして言うまでもないが、これ以外にも米国にはまだまだ百貨店が有り、それに紐づくアウトレット店舗も同じようにあるだろう。

 

 

この状況は、例えるなら伊勢丹や阪急が

伊勢丹格安販売

阪急舞台裏

とかいった類の店舗を都内に建設し、公然と割引商品を捌いているようなものだろうか。

無論、日本でもファミリーセールが行われたりすることはあるが、それは概して『ひっそり』かつ『限定的に』行われるのが普通であって、捌かれる物量を考えれば比較にすらならない。

商売のスタイルが国や地域によって異なる事は想像に難くはないが、ともあれ同じ百貨店ですらここまで違うのは、なかなか興味深いものである。

 

 

メガネ・サングラスのライセンスブランドについて垂れ流し足りなかった

 

前回、前々回の記事においては、各社有名ブランドとライセンス契約を結ぶアイウェアメーカー各社の存在と、その従来の構図を変えつつある新勢力について垂れ流した。

 

 

今回の記事においては、各社のライセンスブランドに対して3大グループの占める割合について垂れ流してみたい。

 

というわけで、早速だが下記がライセンスブランドにおける分布である。

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それぞれ赤字はLVMH傘下青字はリシュモン傘下緑字はケリング傘下として明記した。

 

これを受けて、以下は筆者の主観による垂れ流しである。

・アイウェアブランドの全体数から見ると、3大グループの占める率はそこまで高くはないように見えるが、知名度や人気の点では他よりも一歩秀でたブランドも多いと思われる

・サフィロにはLVMH傘下のブランドが多く、それらの占める売上比率は恐らく高い

・ケリングアイウェアは、ケリング・リシュモン傘下ブランドが既にかなり移管されている

・ティリオスは今後も移管の余地がありそう

 

 

更にここまで来たら死なば諸共という事で、3大グループ以外にも影響力の強そうなグループを色分けしてみる。具体的には2017年度のグループごとの売り上げに30位まで確認し、追加している。

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もはや色がごちゃごちゃでわけがわからないが、とりあえずルックスオティカ有名なブランドがバランスよく分散しているような気がする。

サフィロも分散しているように見えるが、やはりややLVMHに依存している感はある。今後ティリオスに移管されていく流れを考えると些か苦しいようにも思うが、Marc Jacobsとは契約を延長していたり、こんな人と契約していたりと色々と手を打っているようだ。

 

 

垂れ流し続けた筆者の考え

第1回垂れ流し記事においては、ことライセンス品というと

「ださい」

「買っちゃダメ」

「軽蔑の対象」

「ライセンス品を買っただと?貴様、今日この場で勘当だ!」

といったような意見があるとか無いとかいう事を書いた。

 

 

しかし現状、アイウェアに関してはどこのブランドもライセンス供給品ばかりである。

例えばプラダのサングラスがあったとして、それは所謂ライセンス品であって、どこかのアイウェアメーカーが製造している。より具体的に言えば現在はルックスオティカ製で、ひょっとすると数年後には別のメーカーに切り替わっているかもしれない。

 

これは先述のような意見を持つ方たちからすれば、

「ライセンス品の時点でださい」

「ぼったくりだ」

「しかもルックスオティカとかありきたりだ」

といったような反発があるのかもしれない。

 

 

ただ、これまで垂れ流してきたようにライセンスと言っても色々な事情・形態があるわけである。アイウェアに関しては、それらは様々なグループが契約を締結したり解消したりを繰り返した末に生み出される状況でもあって、結局ブランドそのものがめがね工場を構えてどうこう、という流れにはついぞなっていない。そしてこの手の話は当然、筆者のような愚昧な消費者ごときが関与できるようなレベルの話ではない。

というか仮に関与できたとしても、それを恃みに他人のセンスにどうこう難癖付けるのは野暮というものではなかろうか。

 

 

よって本当に一般消費者として見ておくべきは、結局のところ自分の感性、即ち

 

『自分が気に入ったかどうか』

 

というところなんではなかろうか、とぼんやり思うに至った。

 

 

 

 

 

こんな結論に達するなら、そもそも一覧表など作る必要もなかったような気もするが、まあそこは

 

それはそれ、これはこれ

 

というやつである。

 

 

Raretsu

 

メガネ・サングラスのライセンスブランドについてもう少し垂れ流したい

 

先日、

サングラス等のアイウェアは、その多くがライセンスブランド

であることについて垂れ流した。

 

そして近年になって新勢力が現れ、その勢力図に影響を及ぼしているという事まで垂れ流した。よって、今回はそれらの新興勢力の2社に着目して垂れ流したい。

 

 

新勢力その1

新たな勢力のうちの片方は、2014年に発足したKering Eyewear(ケリングアイウェアである。

www.kering.com名称が名称なので容易に察しはつくが、これはファッション・宝飾業界における3大グループ(コングロマリットのうちの1つたるKering(ケリング、旧PPR)、その傘下のアイウェア企業である。

このケリングアイウェアの手掛けるライセンスブランドは以下の通り。(2019年12月時点)

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これも名称が名称だけに容易に察しはつくが、現状のライセンス契約15社にしてこの様相である。ケリンググループの中核グッチを筆頭に、バレンシアボッテガヴェネタブシュロンサンローランと、ケリングの主要ブランドが目白押しである。

くどいようだが名称が名称だけに容易に察しが付く通り、このケリングアイウェアはケリング傘下のアイウェア事業の内製化を目的に設立されたわけである。

先日の記事でも触れたが、グッチは2016年までサフィロとライセンス契約していたが、その後このケリングアイウェアに移管された。

これはサフィロ側からすると稼ぎ頭であるグッチ(売り上げにして約15%分)を失った事を意味し、翌年には赤字転落の憂き目にあっている。

wwd.com

 

一方で浅学な筆者としてもやや違和感を感じたのが、一覧の中にリシュモングループのブランドが含まれていること、それもリシュモンの盟主たるカルティエが入っている事である。

リシュモンケリングは互いに競合関係にあたるはずで、アイウェア事業とはいえトップジュエラーとして影響力の大きいカルティエのライセンスを委託するとは何とも怪奇な、と思ったものだが、このあたりも軽く調べたところどうやら事情があるようである。

 

www.kering.com上記の記事によれば、

ケリングアイウェアは、これまでのカルティエのライセンス契約先であるMANUFACTURE CARTIER LUNETTESを統合。そのケリングアイウェアの株式の一部をリシュモンが取得。ここにおいて、ケリングアイウェアリシュモンアイウェア事業に関しパートナーシップ提携を発表した。

という事らしい。

後に続くようにリシュモン傘下のモンブランも、2018年にマルコリンからケリングアイウェアに移管しているところからも、ファッション・宝飾業界における第2位3位の巨大グループが、アイウェア関連において事実上タッグを組んだ形に見える。しかもカルティエの元ライセンス契約先を統合している事もあって、ノウハウは既にそこにあるということである。買った買われたを恒常的に繰り返すこの業界らしいとも思えるが。

ともあれ、今後ケリング・リシュモン双方のブランドが徐々にケリングアイウェアへと移管していく事が予想されるわけで、この成り立ちを知れば、新興勢力と言いつつ強い影響力を持っているのも何となく腑に落ちるように思う。

 

 

新勢力その2

3大グループのうち2位3位がこの動きとあらば、1位も当然何かしらの策を講じているはず…とこれも容易に察しは付くが、新興勢力のもう一方はLVMH擁するTHELIOS(ティリオス)である。設立は2017年。こちらはこちらで、先日の記事から度々登場しているアイウェアメーカーのひとつ、マルコリンとの合弁企業という形でスタートしている。

www.thelios.com

このティリオスであるが、ライセンス契約ブランドは以下の通り。(2019年12月時点)

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設立時期もあってかまだ5ブランドと少ないものの、セリーヌを皮切りにロエベフレッドケンゾーと続き、今秋には高級靴ブランドで知られるベルルッティも名を連ねている。

ティリオスもケリングアイウェア同様、今後も順次傘下のブランドが移管していく事が考えられる。例えばディオールに関しては長らくサフィロとライセンス契約を行っていたが、2020年いっぱいでこれが終了するため、その後ティリオスへ移管される可能性が高い。

 

しかし3大グループがいずれも内製化を目指すとなると、供給の構造がそれなりに変わっていくのではないか、と素人目には思える。

何せ、この3大グループの傘下ブランドの数・規模は単純に大きい。ケリングにせよリシュモンにせよ売り上げ1兆円はゆうに超え、LVMHに至っては殆ど5兆円規模である。しかも3社とも縮小する気配は全くないどころか、つい2週間くらい前にはLVMHが162億ドルでティファニーをお買い上げというニュースすらあったほどだ。

自身も3大グループ匹敵する巨大企業であるルックスオティカはともかくとしても、他のメーカーについては実際どうなのだろうか。グッチに続いてディオールすら失ってしまうサフィロの例を見るに、ひょっとしてラグジュアリーブランドのライセンス生産を多く手掛けていればいるほど気が気ではないのが実情なんではなかろうか。

 

となると各社のライセンスブランドに対し、どのように・どれくらい傘下のブランドが分布しているのかがそこはかとなく気になるところだ。

ということで、次回の記事ではその辺をそれとなく色分けでもして、再び垂れ流してみたい。

 

Raretsu