中国の武漢に端を発し、爆発的な広がり方を見せるコロナウィルスの脅威を受けて、ミシガン駐在もついに帰国の運びとなった。
当初はデトロイトから羽田への直行便を予約していたもののそれはキャンセルとなり、シアトルで乗り継ぎ便を使うことになった。ちなみに成田行きもキャンセルされていたようだ。
まずはデトロイトからシアトルへ飛んだが、広く言われている通りやはり乗客の数はまばらであった。4時間半程度のフライトであったが、凡そ3分の2は空席といったところだろうか。総座席数は180ということだから、60名程度載っていたことになるだろうか。筆者のように直行便がキャンセルされてこちらに移った人も多いであろうから、もともとの数はもっと少なかったことが窺える。
続くシアトルから羽田へのフライトは更に空席率が高く、80%くらいは空席だった印象である。機体後部にいたっては殆ど誰もおらず、思えばここまでガラガラの飛行機に乗ったのも初めてかもしれない。国際線という事で機体そのものが大きいので、余計に目立つという事もあるかもしれないが。
このご時世に諸国放浪の旅をするような不届き者もそうはいなかろうし、同乗していた諸兄姉の多くは筆者のような駐在員や、あるいは出張者なのだろう。
なおシアトルから羽田への搭乗券スキャン時には、セキュリティによってマスクを取った顔写真を撮られた。
これは恐らく、到着時に入国者の照合に使われるのだろう。ただ撮られたタイミングが悪く、ややもすると薬物でもキメていそうな顔に映ってしまった。
見たところスーツスタイルの人は少ないので筆者本人か否かの判断はつくだろうが、あれはできれば長期間保存してほしくはない。
機内に搭乗してほどなく、国際線ではおなじみの税関宛の申告書が配られたが、更にいくつかの書類が配られた。
健康相談記録、検疫所からのお知らせ、質問票、検疫所宛の申告書である。
健康相談記録
過去に滞在していた場所や体調等を問うものである。COVID-2019に関連する箇所もある。ラクダに濃厚接触しましたか?という設問があって二度見してしまったが、COVID-2019以外の事項もきちんとチェックする必要があるための設問だろう。
検疫所からのお知らせ
14日間は指定場所から動かない事、公共交通機関を使わない事、等の説明がなされている。滞在先を記入する欄もあるため、記入が必要である。
質問票
過去の滞在先や病人との接触有無、日本における連絡先等を記入する。内容に基づき、
保健所から連絡がある場合もあると記載があった。
申告書
自宅或いはホテル等の待機場所から動かない事、公共交通機関を使わないことについて、署名付きで宣誓する書面である。万が一虚偽の申告をした場合には、検疫法36条で罰せられるようであるが、罰則があろうがなかろうが正確に申告する以外に道は無いだろう。米国の惨状を目の当たりにしていればこそ、どこの国であれ抜き差しならない事態であることは容易に想像がつくというものだ。
ちなみに申告書は表面が日本語、裏面が英語となっているが、配布の際に日本人かどうかをクルーが尋ねているのが印象的だった。これも多分、現在の日本の入国拒否対象かどうかを判断するためかもしれない。恐らくこの確認の逃れられた唯一の例外は、前の座席に搭乗していたトイプードルだけだろう。
とはいえいずれの書類も、正当な理由かつ正当な手続きで帰国するなら、何ら記入に困るものではない。
ただ申告書の中に滞在先住所の記入欄があるので、ホテル名だけでなく住所も控えておくと記入がスムーズかもしれない。
何にせよ、最も気がかりなのはこれから待ち受ける検査である。
陽性となれば入院の措置となってしまうだろうし、仕事の面から言っても陰性であることを願うが、どうあれ今後の拡散防止には着実に協力せねばなるまい。